先日の東京都知事選で良くも悪くも話題になった石丸伸二さん。
多くの方は今回初めて知ったと思いますが、ネット界隈では数年前から話題になっていました。そのきっかけとなったのが、議会中に「恥を知れ!恥を!」と発言されたことでしょう。
当時30代だった石丸市長が、歳上の議員たちに向けて放ったこの言葉。
古くからある悪習に一石を投じたと称賛する声もあれば、偉そうだとかあまり良く受け取らない声も。後者はとくに最近になって石丸さんを知り、どういう状況でこの発言が起きたのかを知らない方に多いかなと思います。
そもそも、この発言はこの部分だけで終わるものではないというこを知っている方はどれだけいるでしょう?
歳上に向かって「恥を知れ」と言ったこの部分だけを見れば、まぁ失礼なヤツがいるなと思われても仕方ないかもしれません。ただ、もう少し詳しく追って行けば、また違ったものが見えるはずです。
発言までの流れ
メディアでは「恥を知れ!恥を!」の部分だけを取り上げていることが多いですが、どういった流れで起きたのかを説明しておきます。
まず、この発言があったのは令和4年6月10日の定例会でのこと。
安芸高田市の副市長人事について、議会側が財政健全化の理由で1人に削減したことで、石丸さんはそれと同様の理由(財政健全化)をもって議員定数を16人から8人へ半減させる案を出したことの説明をしています。
その中で議会中に居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない議員はいらないという市民の声があったと発言。
実際、今回の一般質問で質問をしたのは16名中7名とのこと。
その質問をしなかった議員の言い分(市長の答弁が悪いから等)が匿名で新聞に載っていたようですが、匿名でしか意見が主張できないのであれば政治家など辞めるべきと言った後、そうではないと信じているのでその真意を後ほど説明してほしいと話を進めていきます。
他にも議員定数を半減すれば市民の声が届かないという反発に対し、半数になっても同県の三原市と同程度ということで杞憂だと説明。
それ以上に、市民の代表として議会が機能するか否かは、議員の数ではなく質にかかっていると考えていますという主張をしていきます。
さらに、この提案を議会軽視だという批判があったことについて、議会軽視とは議員個人にとって都合の悪い行為ではなく、議会の機能を阻害する貶める行為であると説明。
ここで例の言葉が出てきます。
恥を知れ!の後に続く言葉
石丸「居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない。これこそ議会軽視の最たる例です」
石丸「恥を知れ!恥を!」
5秒の間
石丸「と、いう声があがってもおかしくないと思います。今の命令口調が失礼であったならば訂正します。どうか、恥だと思ってください」
実際にはこのような流れで、続けて「市民から恥を知れと言われてもおかしくないですよ」という趣旨の発言をしていることから、主語が自分ではない発言であると言えます(本人も本気で思ってるでしょうけど)。
次の発言まで意図的に約5秒の間を作っているため、現場ではいかにも石丸さん本人が議員に対して叱責したかのように捉えられたと思いますが、すぐさまその点については訂正をする。
この一連の流れは最初から決めていたようで、あえて間を作ったのもそうすることで「恥を知れ!」の部分がより注目されて取り上げられるだろうという考ていたそう。
目論見通り、これが様々なところで取り上げられ、次第に注目が広まっていきましたね。
とはいえ、前後の流れがわからず恥を知れの部分だけを見ると、威圧的で偉そうな若造と思われる可能性も十分にあるでしょう。
ただ、おそらく本人は自分がどう見られるかはあまり気にしておらず、まずは注目を集め、色んな人の関心を惹くことを重視しているんだろうなと思います。
居眠り議員は脳梗塞だった?
居眠りを指摘された議員は、後日あのときの居眠りは病気によるものだったと釈明。
経緯としては居眠りを指摘された後に「前日に母の介護のため寝不足だった」ということで謝罪、それに石丸さんは「大変でしたね、ゆっくり休まれたほうがよろしいかと思う」との返答をします。
しかし、別の議員があのときの雰囲気は病的なものを感じたということから病院で診察を受け、翌日に「睡眠時無呼吸症候群」「無症候性脳梗塞」と診断されます。
その後も多少のいざこざがあったようですが、議員の言い分としては病気だったために起こったことで、意図的な居眠りではなかったという主張でしょう。
それから数ヶ月後にその議員は亡くなったとされていますが、死因は脳梗塞とは書かれておらず「不明」と公表されています。
さて、居眠り議員が居眠りは意図的ではないという反論をしていますが、診断された二つの症状はどちらもそれによって居眠りが誘発されるものではない(居眠りと病気に因果関係はない)そうです。
普段から強い眠気が襲ってくることはあるようですが、それなら事前に対処できることでもあるし、突然病気になったわけでもないでしょうから今までも同様のことが起こっていたはずでは?
であるならば、本人の自己管理能力が欠けていたと言わざるを得ません。もしその症状をわかったうえで全身全霊市民のために身を捧げてきたのであれば、病気が一因だったとしてもそれを理由にせず潔く謝罪し、休養すれば良かったのではないでしょうか。
わざわざ病気だったので仕方ないと強く主張する姿は、居眠りの事実を誤魔化そうと必死だと思われても仕方ないと思いますね。
また、普段から議会がまともに機能していて居眠りをする議員なんかまずいないという状況で、この議員が初めて居眠りをしていたとしましょう。
その状況で石丸さんがいきなり恥を知れ!なんて言い出したらキレすぎやろ…と思いますが、果たして実態はそうだったのでしょうか?
以前から居眠りに限らず「議会軽視」が横行していたからこそ、石丸さんが市長になってようやくそこにメスを入れたと考えるのが妥当です。
そして、非難する人の中には議員が死亡したことの責任を石丸さんに転嫁している人がいますが、先ほども書いたように死亡した原因が不明と公表されているように、この件との因果関係も不明。
これを持って石丸さんの人格否定等をするのは、悪質な印象操作と言わざるを得ませんね。
ってかさ、居眠りの様子が病的でおかしいと思ったんならその時に議会を止めてでも救急車呼べよ!
なんで後から取って付けたようにおかしいと思ったなんて言い出すんでしょうか。
まとめ
実際、国会でも居眠りをしているシーンなんかは昔からあるし、ほとんどの国民は「マジでふざけんな」と思っていたのではないでしょうか?
「恥を知れ!恥を!…という声があがってもおかしくないと思います」はまさに国民の声だったと思うし、敢えて強めの言葉を使うことで広く関心を集めたのが今回の件です。
メディアでは「恥を知れ!恥を!」の部分だけを取り扱っていることが多いですが、それ以降のやり取りを見れば礼儀を欠いているわけでもないのはわかりますよね。
これだけ世間の目を集め、議員一人ひとりに責任感を持ってもらうために自分がヒールになる可能性が高いリスクを負ってでも、改善しなければならないという意思があります。
ただ、悲しいことにこれでも変わらないのが世の中。
石丸さんが去った安芸高田市議会では、早速古参の議員が堂々と居眠りをしている様子があがっていました。もちろん、議会で根拠ある理由なく否決する姿勢を取り続けた、反石丸派に属していた議員です。
安芸高田市の新市長は石丸さんの意思を継いだ候補は落選し、石丸さん否定派の候補が当選したため、市民は石丸さんのやり方を認めなかったという見方がされていますが…
市民の多くを高齢者が占めるこの町で、反石丸派によるいわゆる組織票的な動きがあったのではないかと僕はちょっと懐疑的に見ています(憶測なのでこれ以上の追及もできませんが)。
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