先日、YouTubeで「国民民主、失望される 玉木ガチでヤバい発表キタァー」という煽りのサムネイルが目に入り、内容を確認してみました。
その内容は昨年の衆院選で「国民の手取りを増やす」という減税政策を目玉に掲げ躍進した国民民主党が、その裏では金融所得課税を強化を目指す、つまり増税を目指しますというもの。
これについて現在は役職停止中の玉木さんが、党としてそういった方針を掲げていることを確認。本人は役職停止中とはいえ、この事実を把握していなかったことをお詫びしています。
という流れで減税に期待して支持していた人の一部からは、批判の声が上がっているようですね。
増税案については以下の通りです。
金融所得課税については分離課税を30%に上げ、総合課税と選択できるようにします。
僕が見たYouTubeの中で、「一般市民は新NISAで頑張って老後資金を作ろうとしているので、これ以上の課税は勘弁してくだせい」というコメントが取り上げられていましたが…
安心してください。
少なくとも、あなたにはほぼ間違いなく影響はありませんから~!!
金融所得課税の強化による影響は?
今回の金融所得課税の強化案の意味が分かる人であれば、自分にどれくらい影響があるかはおおよそ想像できるかと思いますが、正直ほとんどの人は理解できていないと思います。
これはYouTube内で紹介されていたコメントを見ても間違いないでしょう。もうね、「増税」というワードに過剰反応しすぎなんですよ。
この増税案に関しては、一般市民レベルの収入の方にはほぼほぼ影響はありません。
まず、現状の金融所得課税について説明しますが、「分離課税率は20%」で、「総合課税は選択できない」という状況です。
仮に無職の人が株の取引で100万円の利益が出た場合、現行では他の所得を合わせて申告する「総合課税」は選択できないため、分離課税で約20%の税金が引かれます。
つまり、100万円のうち20万円が引かれるということですね。
もし総合課税が選択できたとすると、他の所得(今回はゼロ)と合わせて年間の収入は100万円。これに基礎控除48万円が適用されて所得は52万円となります(他の控除はないとして)。
総合課税は累進課税になるので所得によって税率が変わり、52万円の場合は所得税・住民税で約15%なので78,000円。なので、分離課税より税金が安くなります。
これが分離課税と総合課税による違いですね。
仮の仮の話ですが、個人事業主などで事業では赤字でしたという場合、総合課税であればその赤字とも相殺できてしまうので、さらに税金は少なくなることにもなります。
現状は分離課税しか選択できないので本当に仮の話です。とりあえず、分離課税と総合課税でどう変わるのかについてざっくりでも理解してもらえなければ話が進まないんでね。
で、今後はこれが分離課税は30%、総合課税も選択できるようにするよということです。
上記の例で言えば分離課税で申告すれば税金は30万円に増税されますが、総合課税であればむしろ減税になりますね。
ほとんど儲かっていない個人事業主であれば総合課税を選択することで減税になるかもしれませんが(株の利益による)、普通に利益がある場合や会社員なんかは減税になるケースは少ないでしょう。
まぁそれも収入と株の利益によって変わるんですが、諸々の控除を適用したうえで(収入ではなく)課税所得が195万までであれば、総合課税は税率が15%なので減税になります。
所得が330万円までであれば、税率は20%なので増税にも減税にもならず。330万円を超えると総合課税が30%になるので、どちらを選んでも現状の分離課税(20%)より増税となります。
課税所得330万円は、収入ベースならざっくりと700万円ほど。株の利益が数百万単位にならない限り、この時点で影響を受ける人はそれほど多くはないんじゃないでしょうか。
と言うよりも!
そもそも今では新NISAで年間投資枠360万円までは非課税で運用できるわけですから、影響を受けるのは本当に限られた一部の人に限られるんですよね。
堅実にオルカンや全米株式などでコツコツ積立投資をしている人にとってはまったく影響はないですし、新NISAの投資枠で取引している限りも同様です。
仮に成長投資枠で1000万円儲かった!となっても、そこに税金はかかりませんが何か問題でも?
影響があるとしたら、新NISAでは損益通算ができないのを嫌って特定口座を利用している人が数百万~数千万単位で儲かった場合や、新NISAの枠を超えて運用するような大金持ちだけです。
新NISAの枠を超えて運用できるような人は、応能負担として払うくらいの器の大きさを持ちましょうよ。それでも総合課税の最大税率(約55%)と比べれば分離課税の30%は優遇されてるんですから。
本当に内容を理解していますか?
ということで、金融所得課税が強化されたところでほとんどの国民に影響はないし、影響がある人はそもそも十分すぎるほど資産を持っているような人の可能性が高く、分離課税が30%になったところで生活に困ることはないと思われます。
玉木さんのXでの投稿に対するコメントもざっと目を通しましたが、どうも自分に影響が及ぶもしくは増税というワードに過剰反応している感を強く感じますね。
マジで批判している人は自分にどれだけ影響があると思っているのか語ってもらいたい。批判している人、本当に内容を理解していますか?
理解したうえで自分とは関係のない高所得者の生活を思って反対しているのか、意味わからんけど増税ふざんけなと言っているだけなのか。真相は如何に…
まとめ
金融所得課税の強化は、全体で見ればそれほど大きな影響を与えるものではないと思うし、これを国民民主党を見限る要因とするのは違うかなと思いますね。
すべてが完璧に推せる政治家・政党なんて求めても仕方ないので、選択肢の中から最善を選ぶという意味で僕は国民民主党の基礎控除引き上げ・ガソリンの暫定税率廃止に期待したいです。
今回の件を批判している人も、仮に金融所得課税が強化されても基礎控除引き上げ・ガソリンの暫定税率廃止による影響のほうが遥かに大きいと思うので、増税というワードに引っ張られずに中身をよく考えてもらいたい。
減税派がこれで国民民主党を支持しないとなれば、あとはれいわ新選組か参政党しか選択肢なくなりますよね。まぁそれはそれでいいとは思いますけど。
最後に言っておくと、国民民主党は今でこそ手取りを増やす減税策を訴えていますが、状況が変われば何らかの税率を上げる政策も掲げることは絶対に出てきます。
それは当然のことで、景気が悪いときは減税、景気が良くなり過熱しそうになれば増税して調整をしていくことが必要だからです(全体的な経済政策としてね)。
なので、前と言っていたことが違うじゃないか!詐欺だ!なんてマヌケな発言はしないように気を付けましょう。
まぁ現状あと数十年は景気が良くなることはなさそうな気しかしませんが…
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