【2025年版】傷病手当金とは?対象者・金額・申請方法をわかりやすく解説

傷病手当金の申請書を持つ手と保険証・電卓・聴診器が並ぶ机の上 暮らしとお金の基礎知識

病気やケガで働けなくなったとき、会社員であれば「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」という制度を利用できる可能性があります。これは、健康保険に加入している人が働けなくなったときに、一定の期間・条件のもとで収入の一部を補填してもらえる制度です。

しかし、制度の内容は少し複雑で、「もらえる条件がわかりづらい」「いくらもらえるの?」「どう申請すればいいの?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。

この記事では、傷病手当金の基本から支給条件、金額の目安、申請の流れ、よくある質問まで、2025年時点の制度に対応してやさしく解説します。


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傷病手当金とは?|制度の基本をチェック

傷病手当金とは、会社員や公務員など健康保険に加入している人が、業務外の病気やケガで働けなくなったときに、最長1年6か月にわたって支給される生活保障制度です。

この制度の対象になるのは「健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)」に加入している人。自営業やフリーランスの人が加入する「国民健康保険」は対象外です。


支給される条件とは?5つのチェックポイント

傷病手当金を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

① 業務外のケガや病気によって、働くことができない状態であること

たとえば、風邪で数日休んだような場合ではなく、医師の判断により**「就労不能」と診断された状態**であることが前提です。

② 連続する3日間の待期期間があること

傷病手当金は、働けなくなった日から4日目以降に支給開始されます。最初の3日間は「待期期間」と呼ばれ、支給されません(この3日間に有給休暇を使ってもOK)。

③ 働けない期間中に給与の支払いがないこと

勤務先から給与が支払われている場合、原則として傷病手当金は支給されません(ただし、給与が支給額より少ない場合は差額分が支給されることがあります)。

④ 被保険者期間中であること

健康保険の被保険者である間、または資格喪失後でも一定の条件を満たせば支給対象になります(退職後の詳細は後述)。

⑤ 医師の証明があること

「労務不能である」という診断書または所定の申請書への医師記載が必要です。


傷病手当金はいくらもらえる?計算方法を解説

支給される金額は、「直近12か月の標準報酬月額の平均」をもとに算出されます。

▼ 計算式はこうなります

支給額/日 = 直近の標準報酬日額 × 2/3

たとえば、月収30万円の人の場合:

  • 標準報酬日額:300,000円 ÷ 30 = 10,000円
  • 支給額の目安:10,000円 × 2/3 = 約6,667円/日

以下の表は、月収ごとの支給額の目安をシミュレーションしたものです:

(※実際の支給額は健康保険組合等で確認を)


傷病手当金の支給額シミュレーション

標準報酬月額(円)標準報酬日額(円)支給額の目安(円/日)
180,0006,0004,000
220,0007,3334,889
280,0009,3336,222
330,00011,0007,333
400,00013,3338,889

受給できる期間はどれくらい?

傷病手当金の受給期間は、**最長で1年6か月(18か月)**と定められています。

ここで注意したいのは、「連続して支給される期間」ではなく、支給開始日から数えて1年6か月以内であれば断続的でもOKという点です。

例:受給が一時中断した場合

  • 4月1日:傷病手当金の支給開始
  • 7月~9月:回復し職場復帰(支給停止)
  • 10月:再び悪化し就労不能 → 支給再開

このような場合でも、支給開始日から1年6か月以内であれば再支給が可能です。


傷病手当金の申請方法と必要書類

申請は月単位で行い、都度「医師」「会社」「本人」がそれぞれ書類を記入する必要があります。

▼ 提出する書類

書類名記入者ポイント
傷病手当金支給申請書(様式1)本人基本情報・就労不能期間の記入
傷病手当金支給申請書(様式2)事業主給与支払状況や勤務状況を記載
傷病手当金支給申請書(様式3)医師労務不能の診断と期間の記載

▼ 提出先

  • 協会けんぽ加入者:都道府県の協会けんぽ支部
  • 組合健保加入者:各健康保険組合
  • 郵送 or 事業主経由で提出されるのが一般的です。

▼ いつ申請すればいい?

  • 月ごとの申請が基本(まとめて2か月分なども可能)
  • 医師の証明日付を過ぎてから提出する必要あり

よくある疑問・注意点

有給を使ったらもらえない?

原則もらえません。
有給を取得して給与が出ている場合、その期間は「収入あり」と判断されるため、傷病手当金の支給対象外です。

パートや派遣社員でも受給できる?

健康保険に加入していればOK。
雇用形態に関係なく、協会けんぽや組合健保に加入していれば対象になります。

傷病手当金をもらいながら副業してもいい?

就労していると判断されれば不支給になる可能性あり。
たとえ在宅で軽作業でも、報酬があれば「労務可能」と見なされるリスクがあるため、慎重に。

退職後でももらえるって本当?

条件を満たせば可能。
退職時点で受給資格があり、かつ退職翌日も労務不能であることが証明できれば、退職後も支給継続できます。


まとめ|条件に合えば、ためらわず申請しよう

傷病手当金は、会社員にとって非常にありがたい制度ですが、「知らなかった」「手続きが面倒」といった理由で利用しない人も少なくありません。

大切なのは、「もらえるかどうか、まず確認すること」です。

会社の総務・人事、あるいは健康保険組合に問い合わせることで、自分が対象かどうかすぐにわかります。申請書類も協力を得ながら進めれば、それほど難しくはありません。

病気やケガで収入が途絶える不安を少しでも減らすために、ぜひこの制度を活用してください。


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