近年、自転車保険の加入が義務化されている地域が増えています。加入していないと条例違反になることもあり、「知らなかった」では済まされないケースも。
本記事では、自転車保険の義務化の背景、地域ごとの対応状況、さらに実は保険にすでに入っているかもしれないポイントや、安価で加入できるおすすめの保険についてわかりやすく解説します。
自転車保険の義務化が進む背景
高額賠償事故の増加が社会問題に
自転車は手軽で便利な移動手段ですが、加害者になった場合には高額な賠償責任を負うケースがあります。
実際に、神戸市では小学5年生が歩行中の女性に衝突して重傷を負わせた事件で、親に対して約9500万円の損害賠償命令が下されました。このような事例を受け、全国で「賠償責任に備える保険の必要性」が注目されるようになりました。
自治体による条例整備が拡大
2015年に兵庫県が全国で初めて「自転車保険の加入義務化条例」を施行して以来、多くの自治体が同様の制度を導入。特に都市部を中心に義務化が加速しています。
自転車保険の義務化地域一覧【都道府県別】
2025年現在、自転車保険の加入を義務づけている都道府県は30を超えています。たとえば以下のような地域では、条例により保険加入が義務づけられています。
- 東京都(一部区は努力義務、都全体では義務化)
- 大阪府
- 京都府
- 兵庫県
- 愛知県
- 神奈川県
- 埼玉県
- 滋賀県
- 静岡県 など
加入義務の対象は以下のようなパターンがあります:
- 自転車を利用するすべての個人
- 子どもや高齢者がいる家庭
- 通勤・通学に自転車を利用する会社員や学生
- 事業で自転車を利用する業者(例:配達業)
なお、地域によっては「努力義務」にとどまっている場合もあり、罰則の有無も異なるため、自分の居住地や通勤・通学先の自治体条例を確認しておくことが大切です。
自転車保険に入っていないとどうなる?
一部の自治体では罰則あり
加入義務がある地域で未加入の場合、たとえば大阪市では条例違反として警告や指導の対象になる可能性があります。ただし、現時点では罰金などの強制力を持つ罰則は多くありません。
ただし、学校や企業によっては「自転車通学・通勤には保険加入を義務」としているケースもあり、証明書の提出を求められることもあります。
事故時の経済的リスクが大きい
もっとも重要なのは、「保険に入っていない状態で他人にケガをさせた場合」のリスクです。過去の判例からも明らかなように、数千万円の損害賠償請求が発生する可能性もあります。
未成年の場合でも、親が監督責任を問われることがあるため、家庭内で誰が乗るかにかかわらず、備えておくのが賢明ですね。
実は知らない?「自転車保険」の正体とは
個人賠償責任保険=義務の中心を満たす補償
自転車保険加入の義務とは言われますが、実は「自転車保険そのものへの加入」の義務ではありません。
実際は、他人にケガをさせた場合に補償する「個人賠償責任保険」への加入の義務。これは自動車保険や火災保険、クレジットカードの付帯として契約していることもあります。
もちろん、そういった場合は改めて自転車保険に加入する必要はありません。
保険証券や契約書をよく確認してみると、「個人賠償責任補償:1億円まで」などと記載されている場合があります。これが義務を満たす補償部分です。
👉個人賠償責任保険については、こちらの記事でくわしく解説しています。
「自転車保険」とは、自身のケガ補償がセットになったもの
じゃあ自転車保険に加入しましょうってどういうこと?ってなりますが、いわゆる「自転車保険」として販売されているものは、以下のような商品です。
自転車保険=「個人賠償責任保険+自身のケガに対する補償がセットになった」保険
たとえば:
- 入院1日につき5000円
- 通院1日につき2000円
- 手術一時金あり
といった補償内容が付いてくることが一般的です。
つまり、自転車で自分がケガをしたときの補償はいらないという場合は、自転車保険ではなく個人賠償責任保険だけ加入していればいいというわけですね。
安価に加入できるおすすめの自転車保険
まずは「すでに補償されていないか」を確認
前述の通り、火災保険や自動車保険、クレジットカードなどの中に個人賠償責任保険が含まれていることがよくあります。
その場合、新たに自転車保険に入る必要はなく、義務も満たしている可能性があります。
- 保障金額(1億円以上が目安)
- 家族全員が対象になるか(被保険者の範囲)
をチェックしてみましょう。
火災保険や自動車保険について詳しく知りたい方は、以下の記事もおすすめです。
👉 賃貸の火災保険は自分で選べる!初期費用を1/5に抑える方法と注意点
👉 自動車保険の選び方ガイド|必要な補償と見直すべきオプションを解説
ネットやコンビニで加入できる手軽な保険も
もし補償がない場合でも、安価で加入できる自転車保険商品が多数あります。
▷ 例:セブンイレブンの「自転車向け保険」
- 店頭端末から申し込み可
- 年間保険料:1500円〜
▷ 例:au損保「Bycle(バイクル)」
- インターネット完結型
- 月額数百円から加入可能
- スマホアプリ対応
▷ 家族型・個人型の違いに注意
- 夫婦・子どもがいる場合は家族型の方が割安になることも
まとめ
「自転車保険は必要なのか?」という問いに対して、まず知っておいてほしいのは、義務の中心は「他人にケガをさせたときの賠償責任」に備えること。
すでに加入している保険でカバーされているなら、新たな契約は不要かもしれません。ただし、自分自身のケガへの備えたい場合は、自転車保険への加入も要検討。
相手にケガをさせた場合の賠償額は想像を超えるものになるケースもあるため、自転車を利用される方はしっかりと内容を理解しておくことをおすすめします。
個人賠償責任保険をくわしく解説した記事はこちら。

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