僕がiDeCoを始めたのは2015年(当時32歳)、今年で10年目を迎えることになります。
始めた目的はもちろん老後資金対策ですが、当時は全くと言っていいほどこういった分野への知識はなく、ドキドキしながら始めたのを覚えています。
まだまだ道半ば(むしろ半分も行ってない)ではありますが、今のところ「まぁやっておいて良かったかな」という気はします。
ただ、声を上げて周りにiDeCoをおすすめするかというと、そうではありません。
ここでは、僕の実体験を踏まえたうえで、
これからiDeCoを始めるべきか迷っている方へ参考になるものが提供できればいいなと思っています。
iDeCoの恩恵を受けた時代
iDeCo最大のメリットといえば、やはり「掛金が全額所得控除になる」ということ。
当時、僕はバイト+スロットで収入を得ていて、バイトでは月に12万円ほどの収入がありました。
本来なら12×12=144万円の収入であれば、わずかながら所得税・住民税が発生します。
しかし、iDeCoの掛金が控除されたことで、103万円の壁を下回り、どちらも非課税になりました。
そもそも課税される額が大したことはないので、それほど影響が大きいとは言えませんけどね。
まぁそれは想定内でしたし、僕がiDeCoを始めたのは「非課税で運用できること」と「受給時の税優遇がある」ことが主な理由です。
所得がないと恩恵ゼロ?iDeCoの“現実”
ただ、ある時点でバイトは辞め、収入はスロットのみという時期がありました。
スロットの収入は申告しようがないので、世間的には無収入という扱いです。
この時期は、掛金の所得控除による恩恵はゼロ。だって、払う税金がそもそもありませんからね。
まぁ他の恩恵に関しては変わりないので、やらんかったら良かった…とはなりません。
現在:自営業をしているが、節税効果は再びゼロに
その後、再びバイトを3年ほどした後、現在は細々と自営業をしていますが、ほぼ利益がない状態。
もちろん、節税というメリットはありません。
とはいえ、これまで積み立ててきた資産があるので、掛金を出すこと自体には困っていません。制度的にも「長く続けることが重要」というのは理解しています。
ただ、ここに来て少し状況が変わってきたなと思う出来事があり、それが「新NISA」が始まったことと、制度に若干の改悪が入ったことです。
制度改正でも“解約の自由”は与えられない
つい最近、iDeCoの受け取り時の控除に見直し(※改悪に近い)が入りました。
僕自身には直接関係はないものですが、今後も改正される可能性は大きくなりましたよね。
納得いかないポイントは、制度変更があってもすでに加入している場合は「じゃあ辞めたい」という選択肢すら与えられないこと。
iDeCoは長期的な運用が前提の制度なので、途中で改悪するなんて本来あってはいけないこと。
それを平気で行い、それでいて加入者には脱退の選択肢が与えられないって、詐欺と言っても過言ではないでしょう。
正直、僕は現時点での受給時の控除で計算して、支払う税金があればそれを払って解約したいなと思っています。
なぜなら、今はiDeCoじゃなくても新NISAだけで十分な資産形成ができる可能性があるからです。
新NISAだけでも事足りる可能性は十分
新NISAは最大1,800万円まで非課税枠があります。
細かい制度の話はしませんが、一般的にはこの非課税枠をフルで使える人は少数派でしょう。
iDeCoが今後も何かしらの改正をされるリスクがある限り、多くの方は所得控除のメリットを捨ててでも、融通の利く新NISAのほうが利用価値があるのでは。
iDeCoの資産を新NISAに回したいというのが、現状の僕の本音です。
会社員を辞めるつもりはない or 稼げる自営業ならiDeCoもアリ
僕の場合、今はもう収入が少ないため、所得控除の恩恵がありません。
ただ、所得控除の恩恵を十分に受けられる属性の人であれば、まだ利用価値はあると思います。
ざっくりですが、年収400万円くらいだと所得税5%+住民税10%がかかるので、掛金×15%が節税額となります。掛金が月2万円=年間24万円なら、年間3.6万円。
iDeCoをやるなら、自分の節税額を十分と捉えるかどうかが目安でしょうか。
仕様上、年収が多いほど節税額も多くなるので、そういう方は利用したほうがいいかなと思いますね。
僕のように収入が少ない、もしくは今後少なくなる(気がする)方や、扶養内でしか働くつもりがない方などは、iDeCoはあまりメリットはないでしょう。
まとめ:制度としては理にかなっている。けれど、しっくりこない
iDeCoは、長期で見れば優れた制度です。節税メリット、非課税運用、受け取り時の控除……うまく使えば老後資金の強い味方になるのは間違いありません。
でも、「使いこなせる条件」が揃っていなければ、逆に“縛られる”だけの制度にもなり得ます。
一度加入すれば問答無用で抜け出せない。
それを十分に考慮したうえで、iDeCoのご利用は計画的に…とすることが重要ですね。
最初は「問題ないっしょ」と思っていても、老後までの期間は思いのほか長い道のりになる…僕は実際に始めた身として、そのように感じたことをお伝えしておきます。
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