2024年から「新NISA」として、これまでのNISA・つみたてNISAとは内容が変わることが決定しました。ただ、ニュースでそれを見て「新NISAって何?」と思いませんでしか?
新NISAは「シンプルでわかりやすい」ことを賞賛する声もありますが、僕が思うに「それってあなたの感想ですよね?」って感じ。
NISAはざっくり言うと「投資の制度」なんですが、ほとんどの方は投資の知識がないわけで、これまでと比べてシンプルになったところで、ほとんどの方にとってそもそも複雑怪奇なシロモノ。
まず、新NISAの概要が書かれているものを見たところで、「ニホンゴムズカシイデス…」となるでしょうね。
ほれ、なんて書いてあるかヨメマスカ?
正直、新NISAは使わないともったいないです。でも、内容を理解せずに始めたところで上手くいかないのは目に見える。
ということで、ここでは新NISAについて投資未経験者でもわかるよう丁寧に解説し、万人向けの運用方法も紹介していきます。
NISAに関する勘違いとNISAのメリット
まず、多くの人が勘違いしているのが、NISAを「金融商品」と思っていること。
「NISAって儲かるの?」
「NISAを買おうと思います」
こういった声を聞くことがその証拠かなと。うんうん、まぁ落ち着け、そうじゃないんだ。
じゃあNISAって何よ?って話ですが、NISAとは投資に関するただの「制度」です。
投資をするとき、まず証券会社で口座を開設する必要がありますが、そこで開設するのは「特定口座」と呼ばれるもの。一方、NISAの制度を利用するには、専用の(NISA)口座を開設し、その口座で運用する必要があります。
銀行の普通預金と定期預金が別の口座であるように、投資でも口座の種類があるんです。NISAはその一つと考えておけばいいですね。NISAという商品があるわけではないんです。
わざわざNISAという別の制度を作ったからには、何かメリットがあるのか?と思いますよね。もちろん、NISAには相応のメリットがあり、それは運用益が非課税になるということです。
う、運用益が非課税…だと?(ど、どういう意味やろ)
投資をしていない方は、運用益が非課税と言われてもピンと来ないかもしれませんが、本来、投資で得られた利益には約20%の税金が課せられます。が、NISAを利用すると、その税金がかからないということ。
…冷静に考えて20%の税金って酷くない?こちとらリスクを取って運用してるのに、国はリスクなしに儲かったら税金払えよ~ってことですから。
もうね、それがお前らのやり方か~ッ!とキレたくなる…なんてことは決して思ってないけど、20%の税金が非課税になるならNISAで運用したほうがお得ですよね。
まぁそもそも運用する気がないという人には関係ない話なんですが…
給料は上がらないのに増税&社保の負担増など取られるものはどんどん取られる日本では、運用によって資産を増やすことが生活を守ることに繋がります。
ちなみに、銀行や郵貯に預けている預貯金の利息にも、きっちり約20%の税金ってかかってるんですよ。通帳を見れば税金で引かれた金額(おそらく数円~数十円)も記帳されているはずです。
残酷な政府のテーゼ…だな。(?)
新NISAの概要
では、新NISAについて解説していきます。
つみたて投資枠・成長投資枠
新NISAでまず覚えておきたいことは、1つの制度の中に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があること。
いきなり訳わからん…となりそうですが、諦めないでッ!そんなに難しい話じゃないから聞いてください。
つみたて投資枠はつみたてNISA、成長投資枠は現行のNISAとほぼ同じ仕組みで、それらを1つにまとめたのが新NISAです。厳密には全く同じわけではないですが、だいたい同じなんで細かいことは気にしない。
新NISAで投資しているお金に関しては、すべて税金がかかりませんが(非課税)、つみたて投資枠・成長投資枠にはそれぞれ年間で投資できる金額に上限が決められています。
言い換えると、非課税で運用できる金額には上限があるということで、この金額は「非課税枠」と呼ばれることもあるので覚えておきたい言葉ですね。
非課税枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。これらは併用可能で、年間の非課税枠は最大360万円となります。つまり、新NISAでは年間360万円まで投資できるよってこと。
ただし、年間の非課税枠とは別に、制度自体の非課税枠にも上限が決められており、それが1,800万円となっています。仮に年間360万円を投資し続けると、5年(360×5=1,800)で上限に達しますね。
それを超える金額を投資するなら、課税対象の特定口座で運用してねってことです。
年間100万円を18年かけて上限まで利用するも良し。もちろん、必ず上限まで利用しなければならないという決まりはないし、投資額は生活に無理のない範囲にするのが鉄則ですよ。
…大丈夫?ついてこれてる?
要は、運用益は非課税にするけど、投資できる金額の上限がなければ大金持ちほど有利になるし、大金持ちから税金取れへんのはもったいないから非課税枠の上限は決めますわ…ということです。
なお、成長投資枠は上限が1,200万円と決められているので、1,800万円を満額利用するには、最低でもつみたて投資枠で600万円は利用する必要があります。
一方、つみたて投資枠には上限が書かれていないので、こちらだけで1,800万円を利用することはできます。ただ、年間の上限が120万円なので、最短でも15年はかかりますけどね。
自分で改めて読み直しても思うけど…あれやこれやと数字がいっぱい出てきてややこしいなオイ。
いずれにせよ、ほとんどの方は非課税枠の上限に達するまでに相当な年数を要すると思うので、色々と書きましたが上限に関してはそれほど気にする必要はないですね。一応、上限があるんやな~くらいに覚えておきましょう。
非課税枠は復活する
新NISAがこれまでのNISAと大きく異なるのは、株式を売却したときに非課税枠が復活するということです。ただし、復活するのは年間の非課税枠ではなく、生涯で使える非課税枠(1,800万円)。
また意味のわからんことを…と思ったちょっとお怒り気味のそこのあなた。気持ちはわかるけど、まぁリラックスして聞いてくださいよ。
これまでのNISA(年間の非課税枠120万円)では、このような流れになります。
・10万円の株式を購入(非課税枠の残り110万円)
→値上がりしたので売却し利益確定(運用益は非課税)
→10万円分の株式を売却したが、非課税枠は110万円のまま
これが新NISAでは次のようになります(成長投資枠を利用すると仮定)。
・10万円の株式を購入(年間非課税枠の残り230万円・生涯非課税枠の残り1,790万円) →値上がりしたので売却し利益確定(運用益は非課税) →10万円分の株式を売却したので、生涯非課税枠が復活。ただし、年間の非課税枠はそのまま(年間非課税枠230万円・生涯非課税枠1,800万円)
新NISAは「簿価ベース」で管理されるため、購入後にどれだけ値上がり(値下がり)しても、復活する非課税枠は「購入した金額分」のみ。
簿価ベースなんていう言葉は覚える必要ないですが、非課税枠が復活するという仕組みは覚えておきたいですね。
例えば教育資金として積み立てた分を必要な時期に売却。その後、老後資金として復活した非課税枠を再利用していく…といった使い方はポピュラーになりそうな気も。
まぁ独身の僕にはそんな夢のような使い方はできませんけどね!か、悲しくなんてないんだから…
制度の恒久化
新NISAの2つ目の大きな変更点が、制度・非課税期間が恒久化されたことです。恒久とは、いつまでも変わらないって意味。そう、僕とあなたのキズナのように…なんでもないです。
これまでのNISAは2014年~2023年、つみたてNISAは2018年~2037年という期間が決められていたので、早く始めた人ほど非課税枠が多く使えてメリットがありました。
後発組、とくに始めたくても始められなかったこれから社会人になっていくような人たちにとって、そりゃねーだろ岸田さん…って話だったでしょう。…決めたのは岸田さんじゃないけど。
だがしかしッ!
新NISAは制度が恒久化されたため、今後はいつ始めても非課税枠は平等に1,800万円まで使えます。
同時に非課税期間も恒久化されたので、長く保有することでより大きな利益が目指せるようになったのもありがたいですね。
投資対象の商品
新NISAで購入できる金融商品は、つみたて投資枠と成長投資枠で少し違います。
つみたて投資枠では現行のつみたてNISA同様、金融庁が長期投資に適していると認めた「投資信託」のみ。一方、成長投資枠ではそれに加えて個別株も購入できます。
成長投資枠のほうが色々選べていいのかな?と思われそうですが、知識がない方は個別株で運用しても上手くいく可能性は低いでしょう。
成長投資枠というくらいなんで、大きな利益が狙えるのはこちらで購入できる個別株であるのは事実です。逆に、大きな損失を出す可能性が高いのも個別株。
自分で経済の勉強をして個別株での運用を楽しめるくらいの人でないと、株価の変動に心を乱される可能性が高いと思うので、個人的には個別株での運用はお勧めしません。
僕も個別株で運用していた時期もありましたが、あれやこれやと考えることがあって大変なんですよ。マジ、経験者は語る…です。
じゃあどうすればいいの?って話ですが、運用に関しては後ほど解説していきます。僕がお勧めする方法は、放ったらかしで手間がかからない優れものですよ!(怪しい)
悪徳営業マンに気を付けろ!
今回の改正で少し心配になるのが、金融機関の営業マンが手数料稼ぎのために、成長投資枠を利用して「悪徳商品」を勧めてくるケースがあるかも…ということ。
現行のつみたてNISAではその心配はなかったですが、成長投資枠の性質上、今後はそれが起こってもおかしくないと思われます。
具体的には、この商品がお勧めですと購入を促され、値上がりすれば今のうちに利益確定を!と言って次の商品を勧める。値下がりすれば今ならこちらの商品がお勧めです!と言って違う商品を勧める…といった感じ。
勧められた商品を買うたびに金融機関には手数料が入るので、営業マンはお客さん(あなた)の財布が重くなろうと軽くなろうと知ったこっちゃないんです。
もちろん、利益が出るほうが機嫌が良くなって営業しやすいでしょうから、なるべく利益の出そうな商品をピックアップはしてくれるでしょう。
でも、そんな簡単に利益が出る商品がわかるなら、わざわざあなたに教えなくても自分で買って儲ければいいと思いません?
それをしないのは、そんな簡単に儲かる商品はわからないからです。
そういった被害に遭わないためにも、運用に関して勉強しておくことが重要。少なくとも、後ほど紹介するやり方だけでも理解してもらえれば、無駄な被害を被ることはないです。
対象年齢
新しいNISAは18歳から利用可能となっています。
2022年からは高校でも金融教育が始まったので、今後は10代から資産形成を始める人も増えてくる可能性がありますね。
もちろん、最初は少ない金額でしかできないと思いますが、投資は何より「実践してみる」ことで得られる経験が非常に大きいです。
実際、僕も僕の友人も投資や経済にまったく知識がなかったのに、実際にやってみることで本やネットに書かれていることの意味を理解できるスピードは格段に上がりましたね。
負担ばかりが増え続けるなか、投資をしているかしていなかで将来大きな差が出る可能性は高いので、まずは「始めてみる」ことをお勧めします。
新NISAで「投資の最適解」の運用をしよう
ここまでシンプルになったと賞賛される新NISAについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか?シンプルに感じましたか?
投資枠が2つあり、それぞれに年間投資額に上限があり、片方には保有限度額があり、2つの枠を合わせての上限額があり、片方では投資商品が限られ…でも制度は恒久化だよッ!
ふぅ…やれやれだぜ。
僕が投資をしたことがない側であれば、まず理解できない自信しかありません。なので、理解できなくてもあなたは悪くない!悪いのは言いたいことも言えないこんな世の中…だろ?
とてもシンプルとは呼べない仕様ですが、これをシンプルに使用する方法があります。それが、「投資の最適解」と呼ばれる「全世界株式もしくは米国株式の(長期的な)積立投資」という方法。
株式投資とは株式会社へ出資すること、言わば経済への投資です。会社(経済)が成長すれば、そこに投資している資産も成長する(増える)ことになります。
日本に限れば将来の経済成長に不安が残りますが(不安しかないですが)、これを世界全体で考えたとき、将来的には経済成長している可能性は極めて高い。
なぜか?
世の中がそういう仕組みだからだよッ!
だけでは納得できないでしょうから、すごく単純に考えてみましょう。
僕たちが生きていくうえで、衣食住は欠かせない問題ですよね。仮に、この衣食住を提供する会社が世界に1つだけしか存在しないとします。
僕たちの生活に必要なものは、すべてその会社から提供されるので、その会社の業績は人口が増えるほど伸びるし、人口が減れば下がりますよね。だって、みんな必要なものはその会社で買うんですから。
そして、世界的に人口は今後増えていくことがわかっています。ということは、その会社の業績も伸びていくことがほぼ確定的。
じゃあその会社に投資しておけば、業績の伸びとともに投資している資産も増えていくやん?ってだけの簡単な話です。
実際の世の中はそんな単純ではないですが、全体で見れば人口が増えて(ものを買う人が増えて)、会社の業績が上がるという構図は同じ。
なので、その世の中の仕組みに乗っかり、世界全体の会社に投資をすることで、経済オンチの僕でも運用によって資産を増やすことができるということです。
世界全体の会社に投資をすることができるのが、全世界株式投資。一方、現在の世界経済の中心は米国であり、米国経済への投資も同じように資産を増やせる可能性が高いです。
どちらが良いかは一概に言えませんが、これまでの実績では米国株式のほうが高いリターンをもたらしてくれています。
ただ、それが今後も続く保証はないし、米国経済が今後も盤石かどうかも言い切ることはできませんから、そのリスクを避けるためにも全世界株式をお勧めする人もいます。
僕はどちらかと言うと米国株式派ですが、これといった根拠はありません。いつまでも米国が世界の中心でいるとは思いませんが、少なくとも僕が生きている間に没落するようなことはないんと…ちゃうかなくらいで考えています。
そういった意味では、若い人ほど米国以外にも目を向けておくほうが良いかもと思うところはありますが、正直その辺りはよくわからん!
そこは各自で全世界株式と米国株式について勉強し、自分なりの価値観で選べばいいと思います。どちらにせよ資産が増える可能性は高いでしょうから、とりあえずやっちゃいなよ。
ただし、この方法は長期的な運用を前提としているので、短期間だと損失が出る可能性は十分にあることは理解しておいてください。
これまでも一時的には〇〇ショックなどの影響で大きく値下がりする時期がありましたが、世界経済はそういったことを何度も繰り返しながらこれまで成長を続けてきました。
世の中の仕組み上、今後もそうなる可能性は非常に高いと考えるのは決して楽観的でもないはず。
短期的にお金持ちになれる方法ではないですが、長期的にはお金持ち…とまではいかなくても、小金持ちくらいにはなれるんと…ちゃうかな。
なにより、この方法の良いところは基本的に最初に設定さえしておけば、後は何もすることがなく手間がかからないということ。
運用はしていても実は経済に興味がない僕にとって、個別企業の決算とか気にして投資先の取捨を考える必要がないのはとてもありがたいですよ。
具体的な運用の仕方は別の記事でまとめているので、そちらを確認していただければと思います。
まとめ
新NISAはすでにこれまでのNISAを利用していた人からするとシンプルに思えますが、そうではない人にとってはとてもシンプルとは思えない内容かなと思います。
しかし、ざっくりと新NISA=運用益が非課税になる制度と覚えておけば、細かい内容まで気にする必要もないかなと。
運用に関しては個別株は難易度が高いので、個人的には「投資の最適解」と呼ばれる方法でコツコツと資産を増やしていくことをお勧めします。
新NISAは2024年からですが、2023年までは「つみたてNISA」を利用することができます。新NISAまで待たずとも、経験を積むという意味で今からつみたてNISAを始めるのもいいと思いますね。
なお、NISA口座を開設する金融機関は大手ネット証券がベスト。中でもお勧めはSBI証券です。
このブログではSBI証券の口座開設方法や初期設定についても紹介しているので、投資を始めてみようと思った方は参考にしてください。
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