「子どもができたから生命保険に入ろう」と思っても、実際にどれくらい保障が必要なのかを判断するのは難しいですよね。
そんなときにまず知っておきたいのが、公的な制度「遺族年金」の存在です。
これは、いわば「国からの生命保険」とも言えるもので、条件を満たせば毎月一定額を受け取ることができる制度です。
本記事では、遺族年金の仕組み・支給額・条件を解説したうえで、それを踏まえた生命保険の適切な保障額の考え方を紹介します。
遺族年金とは?|亡くなった方の年金加入状況により支給
遺族年金は、「国民年金」または「厚生年金」に加入していた方が亡くなった際に、生計を維持していた家族に支給される年金です。
種類は大きく2つ:
- 遺族基礎年金:国民年金の制度から支給される
- 遺族厚生年金:厚生年金の制度から追加で支給される(会社員等)
支給条件はそれぞれ異なりますが、もっともベーシックな支援がこの「遺族基礎年金」となります。
遺族基礎年金の受給条件と対象者
遺族基礎年金を受け取れるのは、主に次のような方です:
- 子のある配偶者
- 子ども本人
ここでいう「子ども」とは:
- 18歳の年度末(3月31日)を迎えていない
- または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する
つまり、子どもが18歳になるまでは受給可能という仕組みです。
遺族基礎年金の支給額はいくら?【子どもの人数で変わる】
遺族基礎年金の支給額は、子どもの人数によって加算される仕組みになっています。
子の人数 | 年額 | 月額 |
---|---|---|
1人 | 1,005,600円 | 約83,800円 |
2人 | 1,230,300円 | 約102,525円 |
3人 | 1,305,200円 | 約108,766円 |
4人 | 1,380,100円 | 約115,008円 |
※非課税、年金のため所得にもカウントされません。
このように、毎月8〜10万円ほどの支援が得られるため、生命保険の保障額を決める際にはこの金額を差し引いて考えるのが合理的です。
妻が亡くなった場合も支給される?
遺族基礎年金は、配偶者が亡くなった場合だけでなく、妻が亡くなった場合にも支給される可能性があります。
ただし、その場合には条件があり:
- 夫の年収が850万円未満(所得655万5千円未満)
この条件に当てはまれば、妻が亡くなった場合にも遺族年金が支給されます。
生命保険で必要な保障額の考え方
「遺族基礎年金だけで生活できるか」と言われると、現実的には不足分を民間の生命保険で補う必要があります。
そのためにまず必要なのは、自分の家庭の生活費を把握すること。
✅ 例:現在の生活費が月30万円、子ども2人
- 遺族基礎年金:月額約10万円
- 不足額:20万円
- 必要保障年数:15年(下の子が3歳→18歳まで)
→ 20万円 × 12ヶ月 × 15年 = 3,600万円の保障が必要
これはあくまで目安であり、持ち家・団信加入・将来的な収入増などで変動します。
ただ、「家計を知ったうえで保険額を設定する」ことが重要なのは間違いありません。
月額ベースで設計できる「収入保障保険」がおすすめ
上記のように、毎月不足する生活費を補う保険として最も合理的なのが「収入保障保険」です。
- 死亡時に毎月定額(例:月10万円)を一定期間受け取る
- 加入時点が若いほど、保険金総額も大きくなる
- 保険料は掛け捨て型で割安
無理な保険契約を避けるために|相場に惑わされない
「生命保険の相場はいくら?」という考えは危険です。
必要保障額は各家庭の事情によってまったく異なります。
- 教育方針(私立・大学進学)
- 持ち家の有無(ローン支払いの有無)
- 共働き or 専業主婦(収入変動のリスク)
すべてを勘案して**「自分の家庭に本当に必要な額」を自分で把握する姿勢**が大切です。
まとめ|遺族年金を踏まえて生命保険を最適化しよう
項目 | 内容 |
---|---|
遺族基礎年金 | 子どもが18歳になるまで支給 最大月10万円超 |
民間保険の役割 | 不足分をカバーする (例:月20万円×15年など) |
推奨保険タイプ | 掛け捨て型・収入保障保険 (合理的で割安) |
注意点 | 家計と生活方針を元に 「必要保障額」を考えるべき |
✅ 結論
- 遺族基礎年金は“もらえるお金”として活用し、不足分を保険でカバー
- 保険料の安さだけで選ばず、月額ベースで設計することが重要
- 収入保障保険なら、生活設計と保険がリンクしやすく無駄がない
遺族年金だけで生活ができるものではないですが、生活の手助けになるのは間違いありません。
活用する機会は訪れないのがベストですが、万が一の備えとして制度を理解しておくことは重要ですね。
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