【何がちゃうの?】扶養控除と配偶者(特別)控除の違い

税金

以前、ふと「扶養控除と配偶者控除ってどう違うんやろ?」と思い、調べたことがあります。

調べたときは「ははぁ~ん、そういうことね」と分かる(ふりをする)ものの、常日頃から考えるものではないので、すぐに忘れてしまいがち。

ここでは備忘録を兼ねて、扶養控除と配偶者(特別)控除の違いについてまとめています。
令和2年から基礎控除などの金額が改正されましたが、この記事は令和2年以後の数値となっています。

なお、ここで解説する給与所得には、「交通費・残業代・賞与」は含まれません

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扶養控除とは

扶養控除とは以下の条件を満たす場合に、納税者の税負担を軽減できるものです。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

読者「日本語でお願いします!」
僕「ざっくり言うと、こんな感じです!」

  1. 配偶者以外の親族や、偉いさんから託された児童や老人であること
  2. 納税者(世帯主)と一緒に暮らしている(別居でも仕送り等していればOK)
  3. 給与所得は年間103万円以下、給与以外の所得は48万円以下
  4. サラリーマン家族には関係ない項目

家族がこれらに該当する場合、納税者は年末調整で扶養控除として所得から差し引くことができます。
所得から引くことで課税所得が減り、支払う税金が少なくなるということですね。

親族とは?

親族についてですが、6親等内の血族及び3親等内の姻族は以下のとおりです。

  • 親等…父母・子供
  • 2親等…祖父母・兄弟姉妹
  • 3親等…叔父叔母・甥姪・曽祖父母
  • 4親等…高祖父母・いとこ・祖父母の兄弟
  • 5親等…曽祖父母の兄弟
  • 6親等…またいとこ

わりと広い範囲までが対象となりますね。

ここに記載がないように、配偶者は扶養控除の対象になりません。
ただし、扶養控除の対象ではないだけで、収入が少なければ扶養の対象にはなります

後ほど説明しますが、配偶者の場合は扶養控除ではなく「配偶者控除」が適用されるのです。

扶養の対象年齢と控除額

扶養の対象となる年齢は16歳以上で、19~23歳は特定扶養親族、70歳以上は老人扶養親族となり、それぞれの控除額は以下の通りです(住民税の控除額は5万円少ない)。

  • 扶養控除…38万円
  • 特定扶養親族…63万円
  • 老人扶養親族…48~58万

19歳~23歳までの控除額が多いのは、大学生でお金がかかる時期ということが考慮されているのだと思われます。知らんけど。

一定の収入を超えると扶養から外れる

扶養控除の条件に、給与所得は年間103万円以下・給与以外の所得は48万円以下というものがあります。

給与所得と給与以外の所得でなぜこれだけの差があるかと言うと、給与所得者には「給与所得控除」として、最低55万円(収入によって変わる)が控除できるから。

この55万円と、国民に一律で適用される「基礎控除」の48万円を合計すると、103万円になりますね。

つまり、給与所得者は103万円までは控除によって「所得がゼロ」とみなされるので、所得税を支払う必要はありません。これが一般的に言われる「103万円の壁」です。


一方、給与以外の所得には給与所得控除は使えませんが、48万円は収入を得るための経費や、青色申告特別控除などで差し引いた金額を指します。
そのため、経費などが多ければ、収入が103万円以上でも扶養の対象となる可能性もあります。

扶養の条件に該当するのは、基本的に所得がゼロの場合ということですね。

学生には勤労学生控除がある

給与所得が103万円を超えると、扶養から外れて世帯主の税負担が増えるだけでなく、本人が所得税を支払う必要があります。

しかし、学生には「勤労学生控除」として27万円(住民税は26万円)の控除が適用されます。
そのため、基礎控除48万円+給与所得控除55万円+勤労学生控除27万円=130万円までは所得税を支払う必要がありません。

ただし、この場合は所得がゼロとなっても103万円を超えると扶養の対象から外れます。
扶養から外れると親の税負担が増えるため、どこまで働くかは家族で話し合って決めたほうが良さそうですね。

扶養控除のおさらい

扶養控除は給与所得なら103万円、それ以外の所得なら48万円以下で適用されます。
扶養控除が適用されると、世帯主の支払う税金が少なくなります

これ以上稼ぐと世帯主の税負担が上がり、本人は所得税を納める必要が出てくるので、どれだけ働くかは家族で話し合うようにしたいところ。

この扶養控除は子供や親が対象で、配偶者に関しては適用されません
その代わり、配偶者には「配偶者控除」もしくは「配偶特別者控除」が適用されることになります。

配偶者控除とは

配偶者控除はとは以下の条件を満たす場合に、納税者の税負担を軽減できるものです。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
  5. 納税者本人の合計所得が1千万円を超える場合、配偶者控除は受けられない

基本的には扶養控除と同じですが、対象が配偶者となっていること、納税者の所得が1千万円以下に限られていることが条件になります。

納税者本人の所得も、900万円以下・900万円超950万円以下・950万円超1千万円以下の3段階で控除額に違いがあり、収入が多いほど控除額は少ないです。

また、配偶者の年齢が70歳未満か70歳以上でも、控除額に違いがあります。

【年収900万円以下の場合】

配偶者の年齢配偶者控除の金額
70歳未満38万円(住民税は33万円)
70歳以上
(老人控除対象配偶者)
48万円(住民税は38万円)

【年収が901万円~1千万円以下の場合】

配偶者の年齢900万円超
950万円以下
(所得税)
住民税)
950万円超
1千万円以下
(所得税)
住民税)
70歳未満26万円
22万円
13万円
11万円
70歳以上
(老人控除対象配偶者
32万円
26万円
16万円
13万円

なお、超は「その金額を含まない」、以下は「その金額を含む」という意味です。

配偶者の給与所得が103万円(給与以外では48万円)を超えた場合、配偶者控除が適用されずに世帯主の税負担が増えることになります(所得税率10%なら年間で7万円ほど)。

それを避けるため、配偶者の収入に応じて段階的に控除額を減らし、納税者の税負担を軽減しようというのが「配偶者特別控除」です。

配偶者特別控除も、配偶者控除と同じく納税者本人の所得が1千万円以下であることが条件で、900万円以下と901万円~1千万円の間で控除額が違います。

配偶者特別控除とは

まずは大多数を占める年収900万円以下の控除額を見ていきます。

配偶者の所得控除額(所得税・住民税)
48万円超95万円以下38万円・33万円
95万円超100万円以下36万円・33万円
100万円超105万円以下31万円・31万円
105万円超110万円以下26万円・26万円
110万円超115万円21万円・21万円
115万円超120万円以下16万円・16万円
120万円超125万円以下11万円・11万円
125万円超130万円以下6万円・6万円
130万円超133万円以下3万円・3万円

この配偶者の所得は、給与所得控除を差し引いた金額。
フリーランスなら経費・青色申告特別控除を差し引いた金額です。

給与所得控除は、収入によって以下のように計算します。

収入金額給与所得控除額
180万円以下収入金額×40%-10万円
※55万円に満たない場合には55万円
180万円超
360万円以下
収入金額×30%+8万円

例えば、給与所得が150万円だった場合、150万円×40%-10万円=50万円。
55万円に満たない場合に該当するので、給与所得控除は55万円です。

なお、同様の計算で収入が162万円までは55万円以下になるので、55万円が適用されます。

給与所得が150万円だった場合の配偶者特別控除

給与所得控除は55万円だったので、150万円-55万円=95万円が所得となります。

配偶者の所得控除額(所得税・住民税)
48万円超95万円以下38万円・33万円
95万円超100万円以下36万円・33万円
100万円超105万円以下31万円・31万円
105万円超110万円以下26万円・26万円

配偶者特別控除の表を見ると、95万円以下は控除額が所得税38万円・住民税33万円です。
これは配偶者控除と同等の額で、実質的には名称が違うだけとなりますね。

配偶者の給与所得が150万円を超えた場合、控除額が減少していきます。
これが「150万円の壁」と呼ばれるものです。

給与所得ごとの配偶者特別控除の金額

細かい計算はさておき、配偶者特別控除額がいくらになるのかざっくり一覧にしたものがこちら。
※()は住民税の控除額

給与所得配偶者特別控除
120万円38万円(33万円)
130万円38万円(33万円)
140万円38万円(33万円)
150万円38万円(33万円)
160万円31万円(31万円)
170万円21万円(21万円)
180万円16万円(16万円)
190万円11万円(11万円)
200万円3万円(3万円)

給与所得が150万円を超えると控除額が減少する「150万円の壁」のように、201万円を超えると給与所得控除を差し引いた金額が133万円を超えるため、配偶者特別控除が適用されなくなります。

これが「201万円の壁」と呼ばれるものです。

  • 150万円の壁…超えると配偶者特別控除の金額が減っていく
  • 201万円の壁…超えると配偶者特別控除が適用されなくなる

このように覚えておくといいですね。
絶対すぐ忘れるけど…


ただし、ここまでは納税者本人の所得が900万円以下のケース。
それを超える場合の配偶者特別控除額は以下の通りです。

配偶者の所得900万円超
950万円以下
(所得税)
住民税)
950万円超
1千万円以下
(所得税)
住民税)
48万円超
95万円以下
26万円
22万円
13万円
11万円
95万円超
100万円以下
24万円
22万円
12万円
11万円
100万円超
105万円以下
21万円
21万円
11万円
11万円
105万円超
110万円以下
18万円
18万円
9万円
9万円
110万円超
115万円以下
14万円
14万円
7万円
7万円
115万円超
120万円以下
11万円
11万円
6万円
6万円
120万円超
125万円以下
8万円
8万円
4万円
4万円
125万円超
130万円以下
4万円
4万円
2万円
2万円
130万円超
133万円以下
2万円
2万円
1万円
1万円

高所得者の場合、控除される金額が少ないということですね。
所得が1千万円以上の場合、配偶者特別控除は受けられません。

扶養控除・配偶者(特別)控除はややこしい!

扶養控除・配偶者(特別)控除はいずれも、納税者に適用される控除の制度となります。
最後に簡単にまとめておきましょう。

控除名対象対象者の所得控除額
扶養控除配偶者
以外の家族
・給与所得は
103万円以下
・それ以外は
48万円以下
38万円

63万円
配偶者控除配偶者・給与所得は
103万円以下
・それ以外は
48万円以下
13万円

38万円
配偶者
特別控除
配偶者103万円超
201万円以下
1万円

38万円
金額の壁内容
103万円・超えると扶養控除・配偶者控除が適用されなくなる
・本人の所得税が発生(住民税は98万円から)
150万円・超えると配偶者特別控除の金額が減少する
201万円・超えると配偶者特別控除が適用されない

これらとは別に、106万円の壁や130万円の壁と呼ばれるものも存在し、交通費等も含む・含まないの違いがあるのが複雑さに輪をかけてます。

賢い人たちが集ってんのに、もっと簡潔にできんもんかね?
むしろ、わざと複雑にしてるやろと勘ぐってしまいます。

すべてを把握するのは無理だと思うので、自分に当てはまるポイントだけ調べて少しでも理解できればいいかな…くらいで考えるほうがよさそうですね。

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