会社を退職したとき、まず考えなければならないのが「健康保険をどうするか？」という問題です。収入がない時期にも病気やケガは避けられないため、無保険の状態は極力避けるべき。
ご存知ない方もいるかと思いますが、退職後は「任意継続被保険者制度（任意継続）」と「国民健康保険（国保）」のどちらかを選ぶことができます。
本記事では、それぞれの制度の特徴や保険料、メリット・デメリットを比較しながら、あなたに合った選び方を解説します。
任意継続とは？会社の健康保険を2年間延長できる制度
任意継続は、会社を退職したあとも、最大2年間は会社の健康保険に加入し続けられる制度です。
条件は以下の通り。
- 退職前に継続して2ヶ月以上、健康保険に加入していた
- 退職日から20日以内に手続きを行う
注意点として、任意継続は在職中は折半だった保険料を、全額自己負担で支払うこと。単純計算で倍増するわけですね。
ただし、前年の収入に応じた「上限額」があるため、所得が高かった人ほど国保より安く済むケースもあります。
国民健康保険とは？住民が加入する地域の医療保険制度
会社を辞めたあと、任意継続にしなかった場合は、自動的に国民健康保険（国保）への加入が必要になります。国保は市区町村が運営しており、以下のような特徴があります。
- 世帯の所得や人数に応じて保険料が決まる
- 保険料の算出方法は自治体ごとに異なる
- 医療の給付内容は任意継続とほぼ同じ
扶養の概念がないため、世帯内の全員が個別に保険料を課される点にも注意が必要です。
任意継続と国保の違いを表で比較
| 比較項目 | 任意継続 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 運営主体 | 協会けんぽ （または健康保険組合） | 市区町村 |
| 加入条件 | 退職前に2ヶ月以上の被保険者 期間／退職後20日以内に申請 | 加入義務あり （申請必須） |
| 扶養制度 | あり （扶養家族は保険料に影響なし） | なし （扶養者も個別に保険料） |
| 保険料 | 全額自己負担 （上限あり） | 所得・人数に応じて変動 |
| 給付内容 | 現役時代と同様 | ほぼ同等 |
| 加入可能期間 | 最長2年間 | 制限なし |
どちらを選ぶべき？判断のポイント3つ
任意継続か、国保。どちらを選ぶべきかは、以下のポイントを踏まえて考えましょう。
1. 家族構成で決める
扶養家族がいる場合は「任意継続」のほうが有利になることが多いです。国保には扶養の概念がないため、人数が増えると保険料も高額に。
2. 所得で比較する
前年の年収が高かった人は任意継続のほうが保険料が安くなる傾向にあります。逆に、失業などで収入がゼロに近い場合は、国保の減免制度が使えるケースも。
3. 2年以内に再就職するかどうか
再就職の予定がある場合は、それまでのつなぎとして任意継続の利用が便利です。ただし2年で終了するため、その後は国保に移る必要があります。
手続きの流れと注意点
任意継続の手続き
- 退職日の翌日から20日以内に、保険証を発行していた保険者に申請
- 期限を過ぎると加入できないので注意
国保の手続き
- 退職後14日以内に住所地の市区町村役所で手続き
- 健康保険資格喪失証明書が必要
いずれも手続きに期限があるため、退職が決まった段階で早めに準備しておくことが重要です。
まとめ：あなたにとってベストな選択を
退職後の健康保険選びは、「保険料」だけでなく「家族構成」や「今後の見通し」によって最適な選択肢が変わります。どちらが得か一概に言えないからこそ、具体的な数字を確認し、自分に合った選択をすることが大切ですね。
「任意継続 or 国保」──
迷ったときは、自治体や健康保険協会の窓口に相談することをおすすめします。
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