老後資金が不安だからと「個人年金保険に入っておけば安心」と思っていませんか?
実際にFPや保険営業から勧められて、なんとなく加入している人も多いのが現実です。しかし僕はこの「個人年金保険」という商品、はっきり言っておすすめしません。
その理由は、利回りの低さ・流動性の乏しさ・税制メリットの小ささなど、デメリットが意外と多いから。老後の備えは大切ですが、「個人年金保険だけに頼る」のは少々危険です。
この記事では、個人年金保険の仕組みとメリット・デメリットを丁寧に整理し、筆者がなぜ否定的なのかを論理的に解説します。
個人年金保険とは?基本の仕組みをおさらい
まず、個人年金保険とはどんな仕組みの保険なのでしょうか?
簡単に言えば、毎月保険料を支払い、将来(60歳や65歳になったときに)年金のように受け取ることができる積立型の保険です。
- 積立期間:20年〜30年などの長期
- 受取期間:10年間または終身
- 種類:確定年金/有期年金/終身年金など
一見すると「貯金代わりになりそう」と思えますが、仕組み的には「固定された保険料で、決まった利回りで積み立てていく」やや硬直的な金融商品です。
一見魅力的に見える3つのメリット
1. 税制優遇(個人年金保険料控除)
個人年金保険は、「生命保険料控除」のひとつとして年間最大4万円(所得控除)の節税効果があります。
2. 強制的に貯蓄ができる
毎月引き落としされるため、「気づいたら貯まっていた」的な効果を狙いやすい仕組みではあります。
3. 長生きリスクに備えられる(終身年金型)
終身型を選べば、生きている限り受け取れる形式にもできます。これにより、「長生きしすぎて貯蓄が尽きたらどうしよう…」という不安を軽減する役割もあります。
しかし筆者はおすすめしない!4つの明確な理由
僕が個人年金保険に否定的な最大の理由は、以下のような本質的デメリットがあるからです。
1. 利回りが低すぎる|インフレに全く対応できない
2025年現在、個人年金保険の利回りは年0.5〜1.0%程度の商品が主流です。
この利率では、将来の物価上昇に完全に負けます。
例えば、30年後に受け取る年金が月5万円だったとしても、30年後にはその5万円の価値は現在の3万円以下かもしれません。
2. 解約すると元本割れ|自由に使えないお金になる
個人年金保険の大きな欠点は「途中でお金が必要になっても、簡単に引き出せない」こと。
解約にはペナルティがあり、元本割れするケースが非常に多いです。
住宅購入や教育費、失業など、人生には予想外の出費がつきもの。そのときに融通が利かないのは致命的です。
3. 税制メリットが限定的|控除額はごくわずか
たしかに「個人年金保険料控除」がありますが、その上限は年間4万円(所得控除)。これは4万円が節税できるわけではなく、4万円からご自身の所得税率をかけた額が節税できるという意味。
仮に所得税率が10%なら、せいぜい所得税4,000円+住民税(一律で約10%)4,000円=8,000円が節税できます。
月換算すれば節税効果はせいぜい数百円程度で、大きなインパクトにはなりません。
4. 受け取り時に課税される|税金面で損することも
意外と知られていませんが、個人年金保険から受け取ったお金は「雑所得」として課税されます。
つまり、老後に受け取るお金なのに、税金がかかるんです。
特に、他に収入(厚生年金やバイト収入など)がある場合は、課税対象額が増えて逆効果になることも。
じゃあ代わりにどうする?おすすめの代替策
個人年金保険よりも柔軟で、節税効果が高く、利回りも見込める選択肢が、現代にはいくつもあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受け取り時の控除制度あり(退職所得控除など)
※60歳まで引き出せないという制限はありますが、老後資金専用としては最強クラス
つみたてNISA(2024年から新NISA制度)
- 年間120万円の投資枠
- 運用益が完全非課税(無期限)
- 途中売却OKで自由度が高い
※インフレに強く、分散投資が可能。長期運用との相性も◎
定期預金+生活防衛資金
- 流動性を優先した安全策
- 万が一のときに引き出しやすい
※保険のような縛りがないため、「使いたいときに使えるお金」を確保できる
まとめ|「安心できるから加入する」は逆効果になるかも
個人年金保険は、制度としては古く、利回りも低く、柔軟性にも欠けます。
一見すると「将来が安心になる商品」に見えるかもしれませんが、その実態は“自由のきかない低利回りの積立”にすぎません。
老後の不安に備えるなら、制度を理解したうえで、より効率的で柔軟な手段(iDeCoやNISA)を使うべき時代です。
以前はそういった制度について知る術が少なかったですが、今やネットで調べれば簡単に情報が手に入りますからね。
保険は「何となく加入する」のが一番もったいないパターン。
ぜひ一度、ご自身のライフスタイルや将来設計を見直したうえで、個人年金保険の必要性を考えてみてください。
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