2021年以降、パートやアルバイトで働いている方に大きな影響を与えるかもしれないのが、社会保険加入要件の変更です。
影響があるかもしれないけど、○万円の壁とかいっぱいあって意味がわからんわ!と思っている方も多いでしょうね。僕もその一人だ!
とはいえ、知らずに損をするなんて理不尽なので、ここでは社会保険の変更される点についてわかりやすくお伝えできればと思います。
なお、わかりやすく伝わるとは言っていない…
※改正後の82万円の壁は作られず、106万円か130万円の壁のままとなりました。ただし、金額以外の変更点はあります。
パート・アルバイトの社会保険の加入要件
2020年現在、パート・アルバイトで働く方は以下の要件を満たしている場合、勤務先の社会保険へ加入しなければなりません。
- 勤務時間が週20時間以上
- 1カ月の賃金が88,000円(見込年収106万円)以上
- 勤務期間が1年以上見込み
- 勤務先が従業員501人以上の企業
- 学生以外
社会保険に加入すれば保険料は会社と折半することになり、保険料は毎月の給料から天引きされます。
106万円の壁はよく聞くかと思われますが、正確には月収88,000円以上です。
また、106万円の壁は年の途中から働いたとしても、見込み年収が106万円を超えるかどうかがポイントになります。
例えば、7月から働き始めて月10万円を稼いでも年収70万円ですが、1年働いたと見込むと120万円。
この場合106万円を超えるため、他要件を満たせば加入する必要があるということですね。
とはいえ、実際は88,000円を超えたらすぐに加入するわけではなく、過去1年でどれくらい稼いでいるかも参考にされるようです。(どないやねん)
もし社会保険に加入したくないのであれば、月88,000円を超えない範囲で勤務時間を調整しなければなりません。
なお、月88,000円に交通費・残業代・賞与は含みません。
社会保険「106万円の壁」と「130万円の壁」の違い
社会保険には106万円の壁とは別に、130万円の壁と呼ばれるものがあります。
- 見込み年収130万円(月収108,334円)以上
- 1週間あたりの勤務時間が正社員の4分の3以上
以上の要件を満たしている場合、企業の従業員数に関係なく社会保険へ加入する必要があります。
106万円には交通費などは含みませんが、130万円の壁では交通費・残業代・賞与を含んだ金額が対象に。
ふぅ…やれやれだぜ。
106万円と130万円の壁とは、どちらも本人が社会保険に加入する条件となりますが、違いは収入と会社の規模ということですね。
また、130万円を超えた場合は配偶者の扶養から外れることになるので、会社の社会保険もしくは自身で国民年金・国民健康保険への加入が必要となります。
つまり、106万円以上の収入があっても先ほどの加入要件を満たさない会社であれば、130万円まで稼いでも自身で保険料を支払う必要はなし。
130万円を超えると扶養から外れるので、保険料の負担が発生するということですね。
ふぅ…やれやれだぜ(合ってる?)
そして、最近パートの方々を戦慄させている話題が、106万円の壁が緩和されて82万円の壁になるかもしれないということ。
2021年以降に変更される可能性があり、82万円になると月収は68,000円がボーダーラインとなります(交通費などは含まない)。
さらに企業の従業員数の条件も引き下げ・撤廃される可能性があるとのことです。
※改正後の82万円の壁は作られず、106万円か130万円の壁のままとなりました。ただし、金額以外の変更点はあります。
82万円の壁になると社会保険加入者が増える
パート・アルバイトの社会保険の加入要件が変更される理由として、厚生年金への加入者を増やそうという目論見があるそうです。
そのために月88,000円から68,000円に引き下げ、労働時間が短い人でも加入しやすくしようと議論されています。
これにより、これまでは社会保険加入の要件を満たさなかったパート・アルバイトでも、社会保険に加入しなければならない可能性が出てきます。
第3号被保険者は社会保険に加入すると手取りは減少する
配偶者の扶養内で働くパートの方が悲鳴を上げる理由は、社会保険に加入することで毎月の手取りが減ってしまう可能性があるからですね。
社会保険に加入すると、これまで加入していなかったときと同じ収入を確保するには、勤務時間を増やす必要があります。
主婦「マジで有り得ないんですけど~」
と考える人も多いでしょう。
しかし、社会保険に加入するメリットもあるため、僕は悲観する必要はないと思っています。
社会保険加入のメリット
社会保険に加入するメリットは、将来の年金額が増えること、病気やケガなどで働けなくなったときに、傷病手当金として収入の2/3が最長1年6ヶ月まで支給されることです。
支払う保険料がそれほど多くないため、増える年金も多いわけではありません。
それでも年金は生涯にわたって受け取れる老後の貴重な収入源なので、前向きに考えたいですね。
一方、社会保険に加入することで配偶者の勤務先から配偶者手当などが支給されていた場合、それらがなくなってしまう可能性もあります。
ただ、そういった手当が今後も支給され続ける保証はないし、手当てを頼りに生活をしていくのはリスクが高いかなとも思いますね。
毎月の保険料負担額は?
社会保険に加入した場合、毎月の保険料はいくらになるかは収入によって変わります。
もし加入要件ぎりぎりのラインで社会保険に加入したとすると、現状の保険料から考えると月額1万円ちょいになりそう。
収入が月68,000円の厚生年金保険料は、会社と折半すると個人負担は8,052円となっています。
これに健康保険料が3,366円(40歳以下)or3,899円(40歳以上64歳以下)が加わり、合計で11,418~11,951円ということですね
費目 | 金額 |
---|---|
厚生年金 | 8,052円 |
健康保険 | 3,366円(40歳以下) 3,899円(40歳以上64歳以下) |
合計 | 11,418円~11,951円 |
配偶者が自営業で自身が第一号被保険者だったパートの方なら、保険料の負担は逆に軽くなるので大きなメリットと言えそうです。
年金は損得ではなく「長生きしたとき」に備えるもの
これまで扶養内で働いていた方は、自分で保険料を支払う必要がなかったため、これから支払う必要が出てくるともったいないと感じるかもしれません。
また、年金は元が取れないとか、早死にしたら損をするだけだと否定する人がいますが、僕は年金は損得で考えるものではないと思っています。
たしかに、早くして亡くなった場合は支払った保険料より少ない金額しか受け取れませんが、逆に長生きした場合は多く貰えるわけです。
いつまでも元気に働ければ良いですが、実際には高齢で働き続けるのは簡単ではないし、仕事ができないと収入も少なくなっていきます。
何歳まで生きても貯蓄だけでやっていける人は問題ありませんが、世の中の多くはそうじゃないはずです。
早死にして払い損になる人も、長生きして払い得になる人もいるのが年金であり、長生きしたときの保険として生涯の収入源となる年金は重要なんです。
社会保険に加入することは、そのときの収入を少しでも増やすことに繋がります。
民間の年金保険より国の年金保険のほうが優れている
将来の収入を確保するために、民間の個人年金保険に加入する人も多いですよね。
民間の保険でも「トンチン年金」という商品は、公的年金と同様に生きている限り保険料が受けとれる仕組みになっています。
しかし、民間の保険はそもそも利益を上げるために運営されているわけですから、基本的に加入者にとって有利な仕組みになることはありません。
早く亡くなれば損をするし、長生きすれば得をするのは公的年金と同じ。その損益分岐点は、公的年金のほうが遥かに優れているんです。
公的年金に加入したうえで上乗せ分として加入するならまだしも、公的年金に加入するくらいなら自分で個人年金保険に加入します!は明らかに無駄な行為です。
個人年金保険に加入するより、今なら「つみたてNISA」などを利用して効率的に資産形成ができるので、自分で運用するほうがいいですね。
国の年金はそのうち破綻すると言う人もいますが、冷静に考えてください。
もし国の年金が破綻するのであれば、民間のほうが先に破綻する可能性が高いとは思いませんか?
まとめ
パートの社会保険に関する68,000円と82万円の壁は、月額か年間の違いで同じ意味のもの。
これまでは社会保険に加入する条件の1つが106万円の壁で、それが今後は82万円になるかもしれない…という話でした。
たまに社会保険に加入すると損をすると警告するような人もいますが、将来の備えに回っているだけで損をしているわけじゃありません。
これによって働く時間をどうするか頭を悩ますよりも、気持ちよく働くことを優先してはいかがでしょうか?
追記・106万円の壁は変わりませんでした
2022年10月からパートの社会保険加入条件が変更されましたが、収入に関しては変更されませんでした。
変更されたのは以下の2点。
- 勤務時間が週20時間以上→変わらず
- 1カ月の賃金が88,000円(見込年収106万円)以上→変わらず
- 勤務期間が1年以上見込み→2ヶ月以上に変更
- 勤務先が従業員501人以上の企業→101人以上に変更
- 学生以外→変わらず
2024年には従業員数が51人以上へと変更されるようですが、収入に関しては今のところ変更される情報は出てませんね。
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