2021年以降、パートやアルバイトで働く方に影響を与える可能性があるのが「社会保険の加入要件」の変更です。
「○万円の壁とか言われても、正直よくわからない…」という方も多いでしょう。実際、僕も最初は混乱しました。
とはいえ、知らずに損をするのはもったいない!この記事では、社会保険の加入条件について「106万円の壁」「130万円の壁」といったキーワードも交えて、できるだけわかりやすく解説します。
社会保険加入の現行要件(2024年時点)
現在、パート・アルバイトが勤務先の社会保険に加入するには、以下の条件すべてを満たす必要があります:
- 週の労働時間が20時間以上
- 月収88,000円以上(年収換算で約106万円)
- 雇用期間が2ヶ月以上見込まれる
- 勤務先の従業員数が51人以上
- 学生でないこと(夜間・通信・定時制は除く)
※従業員数の条件は2024年から「51人以上」に引き下げられました。
よく聞く「106万円の壁」とは?
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトが社会保険に加入する収入基準を指す通称です。
具体的には「月収88,000円以上」が基準となっており、交通費・残業代・賞与などは含みません。
たとえば、7月から月10万円の収入で働き始めた場合、実際の年収は約70万円ですが「1年働く見込み」で判断されるため、見込み年収は120万円とされ、要件を満たしてしまいます。
「130万円の壁」との違いは?
「130万円の壁」は、扶養内で働いている人に関係します。
以下の条件を満たすと、配偶者の扶養から外れ、自身で社会保険に加入する必要が出てきます。
- 年収130万円以上(月収108,334円以上)
- かつ、正社員の週労働時間の4分の3以上働いている
この場合は勤務先の規模に関係なく、加入義務が発生します。
また、130万円には交通費・賞与なども含まれる点に注意が必要です。
「82万円の壁」はどうなった?
以前は「106万円の壁」がさらに引き下げられて「82万円の壁」になるのでは?という議論がありましたが、現時点(2024年)では導入されていません。
しかし、将来的にはさらなる要件の緩和が行われる可能性はあります。パートや短時間労働者も社会保険に加入しやすくすることで、厚生年金加入者を増やすのが目的とされています。
社会保険に加入すると手取りは減る?
社会保険に加入すると、毎月の保険料が給料から天引きされるため、一時的に手取りは減少します。
たとえば月収68,000円の場合:
項目 | 金額(目安) |
---|---|
厚生年金保険料 | 約8,052円 |
健康保険料(40歳未満) | 約3,366円 |
合計 | 約11,418円 |
手取りは一時的に減りますが、その分以下のような保障やメリットがあります。
社会保険加入のメリット
- 将来の年金が増える(国民年金より厚生年金の方が給付が手厚い)
- 傷病手当金が受け取れる(病気やケガで働けないとき、賃金の2/3を最長1年6ヶ月支給)
- 老後の収入源が増える(長生きリスクに備えることができる)
さらに、配偶者が自営業で第1号被保険者だった場合は、社会保険に加入したほうが保険料負担が軽くなるケースもあります。
民間の保険よりも国の制度が強い理由
最近では民間の「個人年金保険」や「トンチン年金」などもありますが、民間の保険はそもそも利益を上げるために運営されているので、基本的に加入者にとって有利な仕組みになることはありません。
早く亡くなれば損をするし、長生きすれば得をするのは公的年金と同じ。その損益分岐点は、公的年金のほうが遥かに優れているんです。
個人年金保険に加入するより、今なら「つみたてNISA」などを利用して効率的に資産形成ができるので、自分で運用するほうがいいですね。
国の年金はそのうち破綻すると言う人もいますが、冷静に考えてください。
もし国の年金が破綻するのであれば、民間のほうが先に破綻する可能性が高いとは思いませんか?
まとめ:壁を気にするより、制度を味方につけよう
社会保険の「106万円の壁」や「130万円の壁」は、確かに複雑でややこしいかもしれません。
ですが、それを知ることで自分に合った働き方や将来設計を考えるヒントになります。
社会保険に加入することは、単に負担が増えることではなく、将来の安心を得る手段でもあります。
「損をしない働き方」を考えるのも大事ですが、「自分がどう働きたいか」「どう生きたいか」にも目を向けてみましょう。
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