「万が一の入院に備えて医療保険に入るべき」——そう思い込んでいませんか?
実は、公的医療制度である高額療養費制度を正しく理解すれば、医療保険に頼らなくても十分カバーできるケースが多いです。
この記事では、高額療養費制度と民間医療保険の違いを整理し、医療保険が本当に必要となる場面と、そうでない場面を明確にしていきます。
高額療養費制度とは?公的医療保障の実力
自己負担には「限度額」がある
日本では医療費の自己負担が原則3割ですが、高額療養費制度を使えば、上限額を超えた分は還付されるようになっています。
たとえば、年収約400万円の人なら月の医療費自己負担は約8万円台が上限なので、仮に医療費が30万円だったとしても、22万円は還付されることになります。
入院・手術でも多くの場合は自己負担10万円以内
数十万円〜百万円単位の治療費がかかっても、実際の負担は意外と少ないケースが多く、保険に頼らずとも貯蓄でカバーできるレベルと言えるでしょう。
高額療養費については、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。
医療保険が不要なケースが多い理由
1. 入院日数は短くなっている
平均入院日数は年々減少しており、民間医療保険の「1日5,000円」などの入院給付金では、思ったほど受け取れないことも。
2. 入院費以外は保険対象外
通院交通費、家族の宿泊費などは保険対象外。給付金だけでは不足分を補いきれないこともあるため、貯蓄や公的制度のほうが柔軟性あり。
3. 長期間払い続けても使わない可能性が高い
月々3,000円〜5,000円の保険料を20年払えば、総額で約100万円以上。その保険料は支払いの対象に該当したときにしか還元されません。
それなら「自分で備える貯金」のほうが、汎用性があっていいですよね。
それでも医療保険が役立つケースとは?
1. 高額な先進医療を希望する場合
公的保険が効かないがんの重粒子線治療などには、数百万円がかかることも。こうしたケースでは、先進医療特約付き保険が役立ちます。
ただし、先進医療とは「優れた医療」というわけではなく、以下のように定義されています。
- 先進医療A…有効性がある程度明らかで安全性の問題が少ない
- 先進医療B…安全性と有効性に関する厳しい評価を求められる
先進医療=治る可能性が高いわけではないので、勘違いしないようにご注意を。
👉がん保険の実態:本当に必要?メリット・デメリットと加入の判断基準
2. 自営業などで収入保障がない人
入院によって収入が途絶えると困る自営業者には、就業不能保険や医療保険の組み合わせでリスク対策が有効。
3. 精神的な安心を重視する人
「保険に入っていることで安心できる」といった心理的側面も、否定できない選択理由のひとつです。
4. 貯蓄が少ない人
「貯金は三角、保険は四角」と言われることがあります。
貯金は貯まるまでに時間がかかりますが、保険は必要な保障をすぐに確保できるので、現状の貯蓄が少ない人は、医療保険に加入する必要性はあるでしょう。
ただ、貯蓄がある程度できた後は、医療保険は解約してその分を貯蓄に回すほうが合理的です。
まとめ:医療保険は「なくても大丈夫な人」が多い
医療保険は、すべての人にとって必須ではありません。むしろ、高額療養費制度や公的な収入保障を理解すれば、「保険に入らずとも対応可能」なケースが大多数。
ただし、自営業者や先進医療を受ける可能性がある人など、特定の条件に当てはまる場合には加入を検討する価値があります。
保険に入る前にまずは、自分のライフスタイルや経済状況を見直し、「何のために必要なのか」を考えてみましょう。
ちなみに、僕は医療費は貯蓄で賄うつもりなので、医療保険には一切加入していません。
多くの人が避けては通れない介護に対する備えは、こちらの記事を参考にしてください。
👉 介護保険ってどんな制度?要介護になったときの保障と民間保険の違いを解説
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