日本ではバブル崩壊から約30年経った今なお、不景気が続いていますね。先進国の中で賃金が上がらず、経済成長していないのは日本だけという衝撃の事実があります。
日本人は世界でも有数の勤勉さを誇り、一生懸命に働いているにもかかわらず、なぜこのようなことが起こっているのか…
日本は国の借金が膨らみ過ぎているから仕方ない、今後もなるべく無駄遣いをなくし、もっと働いて増税に耐え、国の財政が良くなるまで我慢するしかない!
このように考え、半ば諦め気味の人は多いかもしれません。
だがしかし!
日本は国の借金が膨らみ過ぎているから仕方ない、今後もなるべく無駄遣いをなくし、もっと働いて増税に耐え、国の財政が良くなるまで我慢するしかない!
そもそもこの考え方が間違っているって言われたらどうするよ?
以前の僕は、テレビなどから「国の借金が増え続け、国民一人あたり〇〇万円の借金がある」という情報を鵜呑みにしていました。
ところが、びっくりすることにこれが完全にデタラメだったんです。そして、日本が30年もの間まったく成長できなかった理由も、このデタラメにあると言っても過言ではありません。
国の借金=国民の借金ではない
毎年のように報道される「増え続ける国の借金」ですが、2023年には1,270兆円と過去最大を記録したそうです。
その記事には続けて「国民1人あたりの借金は1,041万円超となり…」と書かれていますが、これが大きな誤りなんです。
てか、冷静に考えてなんで勝手に僕が借金したことになってんねんって話ですよ。
では、国の借金とは何か?
これは、正確には「国(民)の借金」ではなく「政府の借金」です。
政府が国債を発行してお金を借りる相手は、主に国内の金融機関(民間銀行や保険会社)。そして国債を購入する原資は後ほど説明しますが、実は何もないところから生み出されています。
国が外国に対して約610兆円の借金があることも事実ですが、一方で外国に対して貸しているお金が約950兆円。
差額で言えば約340兆円ものプラス(純資産)であり、この純資産が多い人のことを一般的になんて呼ぶか知っていますか?
それはね、「お金持ち」と呼ぶんですよ。政府の借金はあくまでも「政府の借金」で、それは「国の借金」でも「国民の借金」でもありません。
政府の支出=国民の資産増加
ここからが青天の霹靂。非常に面白い話なんですが、政府が国債を発行して借金をすれば、なんと我々国民の資産が増加するというのです。
んなアホな…と思いましたね?
僕も最初はどういうことかと思いましたが、その仕組みを聞けば納得せざるを得ませんでした。
では、なぜ政府が国債を発行することで国民の資産が増えるのか、国債発行の流れを見ていきましょう。
例えば、政府が公共事業としてA社に100万円の仕事を発注したとします。このとき、政府はA社に支払う100万円を用意するために、国債を発行して(民間)銀行に購入してもらいます。
政府は民間の銀行に口座を保有していないので、この取引には日銀(日本銀行)に開設している「日銀当座預金(以下、日ヨ)」を使用することになります。
国債を購入する銀行も取引には日ヨを使用し、銀行は日ヨの残高が100万円減少します。一方、政府の日ヨ残高は100万円増加し、政府は100万円の資金調達ができました。
※このとき、銀行が国債を購入する原資は国民の預金ではなく日銀からの供給(データ上で日ヨの数字を記入するだけ)で、何もないところからお金が生まれる仕組み(信用創造)となっています。ややこしいかもしれませんが、難しく考えず事実としてそうなっていると知っておけばオッケー。
さて、政府はこの100万円をA社に支払おうとしますが、A社は日ヨを保有していないので、直接振込することはできません。
代わりにA社は100万円の政府小切手を受け取り、それを銀行へ持ち込み精算してもらうことで、その銀行の預金に100万円が記帳され、無事に100万円が支払われることになります。
最後に銀行は100万円の政府小切手を日銀に精算してもらい、A社は従業員に給料を支払うことで政府の支出によって国民の資産が増加するという一連の流れが完了します。
胡散臭いなぁと思われそうですが、実際にコロナ禍で定額給付金が支給されたとき、あなたの資産が10万円増えましたよね?
あれこそ政府が国債を発行(支出)したことで、国民の資産が増加するという典型的な例だと言えるでしょう。
誰だよ、国債を発行したら国民の借金が増えるとか言い出したのは…
日本を何十年も失わせている犯人は「緊縮財政」
「誰かの負債は誰かの資産」というワードを聞いたことがあるでしょう。
…え、ない?
まぁなくてもいいんですけど、これはそのまま「誰かの借金=誰かの資産」になるということ。
定額給付金も、「政府の負債」が「国民の資産」になっていましたよね。
日本はすでに何十年と長い長い時が失われていますが、日本政府が主に行っている財政政策が「緊縮財政」と呼ばれるもの。
緊縮財政はざっくり言うと、支出を抑えて収入を増やすやり方です。言い換えると、政府は負債を増やそうとせず、資産を増やそうとしているんです。
これを先ほどの公式に当てはめると、「(誰か)の負債は(政府)の資産」となりますが、このとき負債を負う誰かとは誰か?
そう!国民です!
支出を減らして収入を増やすという考え方は、一個人・一企業にとっては正しいですが、実はこの考え方を政府に当てはめてしまうと、とんでもないことが起こってしまいます。
何が起こるかおわかりでしょうか?
それが現在の日本で起こっている、国民の貧困化ですよ。
だって、政府の収入を増やすと、国民の資産は減ってしまうんですから。それが続いた結果、日本はどんどん貧しくなってきました。
だったら政府は常に支出をし続け、国民の資産を増やせばみんなハッピー!…とはなるわけでもないんですけどね。
しかし、現在の日本のようにデフレで苦しみ、世の中にお金が回っていない状況での緊縮財政は、より経済を停滞させるだけ。
デフレでは明日の生活が不安で消費が落ち込みます。売上が上がらず企業の業績も伸びなければ従業員の賃金も上がらない。
このような状況では個人も企業も節約志向になるのが当然で、一人ひとりの行動としては正しくても、全員が同じように節約すると経済が低迷しますよね。(これを合成の誤謬と言います)
この状況を打破するには、誰かがバカになってお金をジャブジャブと使う必要がありますが、見通しが悪いのがわかっているのに誰が好き好んでそんなバカなことをするでしょうか。
僕ができるのはせいぜい大量のお菓子を買うことくらい…かな。
そこで、そのバカの役割を担うのが政府の仕事なんです!
本来、デフレ下では政府が支出をして民間にお金を供給し、さらに消費を促進するために減税を行う。それによって購買意欲が上がり、企業の業績と賃金が上昇し、経済活動が活発になっていきます。
説明されたら経済オンチの僕でもわかる、単純なストーリーですよね。
ただし、民間のお金は増えれば増えるほど良いというわけでもありません。政府が支出をしすぎると、今度は世の中にお金が溢れすぎてしまい、インフレが進み過ぎる可能性があるからです。
適度なインフレが進むことが正常な経済とされますが、行き過ぎたインフレもまた経済に悪影響を及ぼしてしまうので、そのときは政府が世の中からお金を吸収し、調整を行う必要があります。
そのためには支出を控え、増税などによって購買意欲を抑える。つまり、現在行っている緊縮財政の出番となるわけですね。
デフレでは世の中にお金を供給するための政策を、インフレでは世の中のお金を吸収するための政策を行うのが正常なのに、現在の日本というと…?
デフレやのに世の中からさらにお金を吸収する緊縮財政をしているので、日本が何十年も成長しないのも当たり前って話なんですよ。
仮に緊縮財政で日本を立て直そう!と敢行し、半年・1年くらいで結果が出なかったとしても、そこはもうちょっと長い目で見たほうがいいとは思いますが、すでに30年ですよ30年!
30年の結果がこれなのに、未だに賢いはずの人たちは緊縮が正しいと考え、うまく機能していないことになんの疑問を持っていないのでしょうか?
あぁ、これはいわゆる…大人の事情ってやつかオイ!?
PB(プライマリーバランス)の黒字化
PB(プライマリーバランス)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
家計に優しいプライベートブランド…ではなく、プライマリーバランスとは収入と支出のバランスのことを指します。
そして日本政府は現在、2025年度のPB黒字化を目標にしているそう。つまり、支出より収入を多くしようとしているわけですね。
先ほども言いましたが、一般家庭・企業ならそれで良くても、政府がそれに固執するのはよろしくない。とくにデフレの真っ只中で黒字化を目指すなんてのは、愚の骨頂。
政府の収支が赤字でも問題ない理由は、日本は自国通貨を持っていてそれを発行できる権利があるからです。
国民や企業には通貨発行権がないですから、毎月の収支が赤字で借金が増え続けたら返済ができなくなる可能性があるので、赤字続きは良くないというのはその通り。
ところが、政府は通貨を発行できるので、いざとなったらお金を刷って返すことができるんです。もちろん、刷りすぎれば円の価値が下がってしまうので、いくらでも刷れるわけじゃないですけど。
この通貨発行について円の価値が下がってハイパーインフレになるからアカン!と反論する人もいますが、実際にコロナ禍で普段より圧倒的に多くの予算を出したときどうなったのか?
多額の国債を発行したことで日本円の価値が下がり、金利が上がってハイパーとは言わずともインフレが加速しました…っけ?
みなさんがお金を預けている銀行の金利は…限りなくゼロに近い0.○〇%じゃね?
最近、物価こそ上昇していますが、これは経済が活発になって起こるインフレではなく、ウクライナとロシアの戦争など外的要因による「コストプッシュ型のインフレ」と言われています。
要は、コロナ禍で政府が大幅に借金を増やした~!となったところで、まだまだ世の中に出回っているお金の量は足りていないということなんじゃないでしょうか。
まとめ
メディアで報道される「国の借金」とは「国民の借金」ではなく、単なる「政府の負債」です。
その政府の負債は国民の資産であり、政府が国債発行をすることで国民の資産が増える。これがメディアではほとんど報道されない事実です。
PBを黒字化するために増税増税また増税とするのは、景気を良くすることと逆行するだけの愚策も愚策また愚策ということ。
近年、YouTubeなどで正しい貨幣観を発信する方が増えたことで、以前よりは緊縮財政に異を唱える人が増えた気はします。
それでも未だに大半は誤った報道により勘違いをしたまま。このままでは、失われた30年は40年・50年、はたまた100年と続いていくかもしれません。
積極財政だけで景気が良くなるかはわかりませんが、少なくとも緊縮財政では良くならないのは日本が証明済みなので、まずは政府の支出を増やすことが必要だと思います。
自民党内にも積極財政派はいるようですが、結局はトップが緊縮派(何も理解しておらず操り人形化しているとかいないとか)では期待できませんね。
デフレを脱却し豊かな生活を実現するためには、党のトップが積極財政を掲げる政党を支持するしかありません。幸い、国民民主党やれいわ新選組など、いくつかの政党は積極財政を掲げています。
以前の僕もそうだったので「政治はよくわからん、選挙に行っても何も変わらない」と思う気持ちは理解できますが、昔とは違ってインターネットによって様々な情報が得られるようになり、状況は変わりました。
今すぐには無理でも、数年後・数十年後に変わる可能性は十分にあると僕は思っています。
若い人は自分の未来のため、数十年後に生きてるかわからんという人は自分の子ども・孫のため、デフレを脱却できるよう行動してみませんか?
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