血統を系統別に紹介するコーナー。
今回は、大主要な大系統には分類されないマイナーな大系統ついて紹介します。
その他の大系統
サラブレッドの先祖は、遡れば3頭の馬に辿り着くと言われています。三大始祖と呼ばれるダーレーアラビアン・ゴドルフィンアラビアン・バイアリータークです。
メダルゲームのスターホースで遊んだことがある方は、「お~、あのWBCCでクソ強い馬やないか!」と感動の声をあげることでしょう。…あげろよ?
現在のサラブレッドのほとんどはダーレーアラビアンの末裔で、ゴドルフィンアラビアンやバイアリータークの血を持つ馬は少数です。
歴史的に、血統の勢力図はスピード型がスタミナ型を凌駕してきており、スタミナを武器とする系統は父として活躍の場を失います。
しかし、母父に入ることで豊富なスタミナを伝え、産駒の底力に影響を与えるのです。
近年では、オルフェーヴルの母父メジロマックイーンも、父としては活躍できませんでしたが、母父として名馬を複数輩出。
ここに紹介するのも、父系としては適性が合わずに衰退気味の、異系の種牡馬になります。
ヘロド系
ヘロド系はサラブレッドの三大始祖、バイアリータークから派生している唯一の系統。
日本では70年代~90年代前半にかけて、パーソロンという馬から活躍馬が多数輩出され、日本史上初の無敗の三冠馬であるシンボリルドルフもこの血を持っています。
ヘロド系はスタミナに優れたタイプが多く、90年代前半には、メジロマックイーンやトウカイテイオーといった名馬を輩出。
しかし、サンデーサイレンスの登場で一気にスピード化が進み、活躍の場が減少しました。
マッチェム系
マッチェム系は三大始祖、ゴドルフィンアラビアンから派生する唯一の系統。
マッチェム系はスピードに優れたタイプが多く、短距離戦では重賞でも活躍する馬も稀に出現します。とくに、特殊な適性を問われる新潟の直線競馬で穴に期待できます。
マッチェム系であるカルストンライトオは、未だに新潟1000mのレコードホルダーであり、卓越したスピード能力を持っていることがわかりますね。
セントサイモン系
セントサイモン系は、三大始祖ダーレーアラビアンから派生する系統。
19世紀末~20世紀初頭の英国において圧倒的な支配力を見せ、重賞レースの半数以上をセントサイモン系が勝つまでに繁栄したそうです。
「現在のサラブレッドでセントサイモンの血を持たない馬は存在しない」とまで言われてます。
しかし、繁栄し過ぎたセントサイモンの血は飽和状態となり、交配相手が限られてきます。すると、良血馬との交配もできなくなり、結果として飽和した系統は衰退する運命を辿ります。
セントサイモン系の特徴は、とにかスタミナが豊富であること。現在、セントサイモン系と言えばリボーが最も有名で、多くの名馬がこの血を持っています。
リボーにミスプロを合わせたのがフォーティナイナー、ロベルトを合わせたのがブライアンズタイム、ダンチヒを合わせたのがデインヒル。
まさに名馬製造機!現在でもリボーの血を血統表内に持つ馬は、重賞レースで激走することが多々あります。
ハンプトン系
ハンプトン系は、三大始祖ダーレーアラビアンから派生する系統。
日本ではディクタスからサッカーボーイ、そしてナリタトップロード・ヒシミラクルと活躍馬が出ています。
本来、この系統は長距離向きのスタミナ血統ですが、気性が激しく距離が持たない馬が多く出ました。代表馬のサッカーボーイも、優れた瞬発力を武器に短~中距離で活躍。
しかし、サッカーボーイは種牡馬になると本来の適性を伝える「先祖返り」という現象を起こし、ナリタトップロードやヒシミラクルと言った長距離が得意な馬を輩出しています。
とくに、京都競馬場の長距離レースに相性が良く、菊花賞と天皇賞(春)では何度も波乱を演出してきました。
マイナー系
マイナー系は、三大始祖ダーレーアラビアンから派生し、これまでの分類に属さないその他すべてをまとめた系統。
細かく分けるとスターリング系・ストックウェル系・ダマスカス系・ニアークティック系となります。
どの系統も基本的にはダートや短距離で走る馬が多く、日本の主流コースである芝中菱距離での瞬発力勝負には向きません。
スターリング系に属すノヴェリストは欧州の中距離で活躍した名馬で、日本でもダートより芝で走る産駒がほとんどです。
しかし、スピード不足は否めず、主流コースよりもズレたコースで狙うほうが効果的ですね。
注目種牡馬
その他の大系統に属する種牡馬は、基本的に日本で求められる瞬発力勝負には向きません。
2017年に産駒がデビューしたノヴェリストは、ドイツの歴史的名馬として種牡馬入りしました。
ノヴェリストは、ハーツクライですらタフすぎて苦しんだキングジョージでも圧勝するほど豊富なスタミナを持っています。
ダートよりも芝向きで、スタミナ血統であるために母系にはサンデー系の血がないと厳しそうです。
狙い目になるのは非根幹距離で、根幹距離だと人気でも信頼度はやや落ちます。とくに、短縮ローテの人気馬は疑ってかかるほうが良さそうです。
穴をあけるのはほとんど下級条件(1勝クラス以下)で、上級条件(2勝クラス以上)になると、ほぼ人気馬しか走りません。
ノヴェリストは下級条件の非根幹距離で狙うのがベストになりそうです。
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