老後の備えとして「個人年金」への加入を検討する人は多く、その中でも「トンチン年金」の人気が高くなっているそうです。
だがしかしッ!
トンチン年金もそれ以外の個人年金も、お勧めはできません。
この記事ではその理由の解説と、その代わりに老後の備えとしてできることの提案をしていきます。
トンチン年金とは?
トンチン年金とは、「自分が亡くなるまで(一生涯)」年金が受けとれる個人年金保険。
まぁ国の年金と同じですね。
日本生命が販売するグランエイジという商品では、このような契約ができます。
- 50歳男性
- 70歳払込満了
- 年金開始70歳
- 年金額…年60万円
- 保険料…月50,790円
- 払込総額…約1,200万円
50歳~70歳まで月5万円を支払うと、70歳以降は年間60万円(月5万円)が受けとれる仕組み。
70歳から5年間の保証期間があり、75歳より前に亡くなった場合は遺族に保証分の保険金が支払われます。
また、70歳より前に亡くなった場合や途中解約した場合は、一定の解約(死亡)返戻金が受けとれますが、返戻率は約70%とかなり低いんですよね~。
トンチン年金のメリット
トンチン年金保険の唯一とも言えるメリットは、生きている限り年金が受けとれる=長生きするほどお得になるということですね。
じゃあどんだけ長生きしたらお得になるんや?って話ですが、先ほどのグランエイジの加入条件の場合、毎月の年金が5万円で支払う保険料もほぼ5万円でした。
支払期間は20年なので、単純に90歳まで生きれば元が取れます。
が…90歳までおみゃーさん生きとるか?
もちろん、長生きしたときの備えなので損得だけで考えるものではないですが、あまりにも条件的によろしくないと言わざるを得ませんね。
トンチン年金はまさに、「人生を賭けたギャンブル」です。
国民年金の場合
比較対象として、多くの国民が非難する国民年金を見てみましょう。
国民年金は20歳から60歳まで保険料を支払い、保険料は16,900円ほど。
計算をカンタンにするため、17,000円としておきましょう。
これを40年払い続けると、総額は816万円。
現在の受給額は年間78万円なので、支払った保険料は10年と数ヶ月で回収できますね。
おや?トンチン年金は20年でようやく元が取れるのに、10年ちょいで元が取れる国民年金が非難されるとは…いったい日本人はどうなっちまったんだ?!
とはいえ、国民年金の受給額はいずれ減ることも予想されます。
仮に年間60万円まで引き下げられたとして計算してみましょうか。
その場合、回収できるのは約13年と6ヶ月。
今より2割以上の減額でも、トンチン年金保険より早く回収できるのが国民年金です。
なぜこれだけ差が出るのかというと、国民年金は財源の半分に税金が使われているからです。
そのおかげで支払った保険料を短い期間で回収することができるというわけ。
国民年金は遺族年金や障害年金などの保障もあるし、どちらが優れているかは考えるまでもないレベルですね。
トンチン年金のデメリット
デメリットは言うまでもなく、収支のバランスの悪さ。
加えて、数十年後にその保険会社が存続しているかどうかのリスクもあります。
まぁ倒産しても保険金がパァになるわけではないですが、さらに条件が悪くなる可能性は高いですね。
民間の保険会社は利益を出し続ける必要があり、その利益の源泉は契約者の保険料。
もし、さらに長寿化が進んで平均年齢が上がれば、保険料を上げるか受給額を下げるかしないと保険会社は存続できません。
その場合、今よりもっと旨味のない保険となってしまいます。
加入年齢が引き下げられると?
現在発売されているトンチン年金では、加入年齢が50歳からとなっています。
そのために毎月の保険料も高額になりがちですが、もしからしたら今後は加入年齢が下がって毎月の保険料が低めになる可能性もないとは言い切れない。
仮に、最初の契約条件で30歳から加入できるとしたら、毎月の保険料25,000円を40年間支払い続ければ同額の支払総額になります。
期間が長期になれば保険会社の運用期間も長く取れるので、もう少し安くなるかも知れません。
仮に月額2万円としておきましょうか。
が、それでもおすすめはできないですね。
月20,000円を40年間支払い続ければ総額960万円なので、年額60万を受け取っても回収するまでに必要な期間は16年。
40年となると国民年金と同じ期間になるし、30代で月2万円を捻出するのも簡単ではない。
仮に捻出できても、将来の受給額は決して多くないし、果たしてどこにメリットがあるの?と言いたくなってしまいませんか?
自分で運用するほうが効率的
トンチン年金のメリットが弱いのは、保険会社に多額の手数料を取られるから。
それなら、自分で資産運用をしたほうがよっぽど効率がいいです。
自分で運用なんてできりゃ苦労せんわ!と思う人は多いでしょうけど、別に運用といっても普段することは何もないんですよ。
何をするかをズバリ言うと、つみたてNISAやiDeCoの制度を利用して、毎月積立をするだけ。
運用には主に投資信託で行うので、自分がするのは口座を開設して積立の設定だけでオッケー。
現時点では、これがもっとも手軽にできる資産形成術だと考えています。
まとめ
トンチン年期に限らず、民間の保険は手数料が高いため、貯蓄・運用目的には不向き。
無駄に高い保険料を支払うより、効率良く資産形成するために自分で運用するのがお勧めですね。
やることはマジで簡単。
あとは「やるか・やらないか」だけですよ!
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